「若者の文化を吸収しないとただ老いていくだけ」志茂田景樹が語る、自由な発想で生きる秘訣
派手なファッションやユニークなキャラで知られ、メディアにも多く登場している、作家・志茂田景樹さん。最近はタレントのりゅうちぇるとテレビ番組で共演したことから、「しもちぇる」という愛称で、若い世代からも支持を受けています。その一方で、絵本の読み聞かせは20年以上続けており、8月5日に発売された書籍『天国ポスト~もう会えないあの人に想いを届けます。』(トランスワールドジャパン)では監修を務めるなど、幅広く精力的な活動を続けています。そんな志茂田さんに、76歳という年齢でなぜ若者に親しまれているのか、そのパワーの根源は何かを聞きました。
■社会になかったものが出てきたら、好奇心を持って取り入れてみる
――最近は、志茂田さんが作家だということも知らないであろう若い世代からも、注目を集めていますね。年配の方の中には「最近の若者はダメだ」なんて言う方もいますが、志茂田さんは若者のことを、どう捉えてらっしゃいますか?
志茂田景樹さん(以下、志茂田) 「最近の若者はダメだ」なんて、1000年も2000年も昔からどの世界でも言われてきた、万国共通のものだと思っています。年配者は若者と価値観が違い、その価値観の枠から、はみ出さないようにして生きています。だから、若い人たちとズレが生じ、若い人たちのことを理解できないんです。新しい人たち、つまり若い人たちが新しいものを築いていくから、時代が変わるのです。それは、言葉やファッションも同じです。その変化を受け入れて、吸収していくくらいでないと、ただ老いて亡くなるだけになっちゃう。
――とても柔軟な発想をされているのですね。では、どうしたら、そのように自由な発想を生み出し、継続させられるのでしょうか?
志茂田 それまで社会になかったものが出てきたら、それに注目するということです。そして、取り入れる。簡単に言えば「好奇心」です。好奇心というのは、今まで自分が気づかなかったり知らなかったりしたものに興味を持つことです。例えば、ポケモンGO。あれは一過性の流行だと思うのですが、仕組みだけはきちんと頭に入れておくことが重要です。無料で簡単にダウンロードできるのですから、実際にやってみて、なるほど、このスポットに行けば力を得ることができるのだな、こうすればポケモンを強くできるのだなと、知っておく。頭に入れるだけで、別にハマる必要はないんです。そしたら、これがポケモンGOか、とわかるはずなので、それから、「でも、こんなことをやっていたって時間のムダだな。自分はもっと違う、新しいことをやってみたい」そう思えばいいわけです。好奇心を大切にする。否定してはダメ、吸収するんです。
若者の文化を取り入れているかどうかは、カラオケに行くとわかるんです。年配の人は古い歌ばかり歌って、AKB48なんて歌わないでしょ? そういう年配の人を若い人が見ると、生きていてもしょうがないなと思ってしまう。だから、古い世代が一生懸命努力して、好奇心をもって、新しいことに近付いていかないといけません。
■現代の若者たちは打たれ弱く、人間関係を平穏に保ちたがる傾向
――志茂田さんは、Twitterを利用して若者の悩み相談にも乗っていらっしゃいますが、なぜ、多くの若者から悩み相談が寄せられるのだと思いますか?
志茂田 SNSでは、面と向かって言いにくいことでも、言いやすいんでしょうね。身元を知られての相談とは違うので。中には冷やかしもあるかもしれませんが、「死にたい」という深刻な相談もあります。でも、SNSで「死にたい」と相談してくる人は、構ってもらいたい、あるいは自分のことをわかってもらいたいだけです。本当に死にたい場合は、Twitterで「死にたい」とはあまり言いません。
たまに、本気で死にたいと悩んでいる人がいるのですが、その場合は、「死にたい」とツイートした後、しばらくツイートの間を置いて、また「死にたい」と繰り返し投稿する傾向があります。そういう人には「死んではいけないよ」と言うよりも「生きていく方がいいんだよ」と言います。
Twitterは、いろんなフォロワーの目につきます。「死にたい」というツイートを、私があえて引用リプライで多くのフォロワーに見せることによって、過去に自殺未遂をして今は立ち直った人から、励ましのリプライなども届く場合があります。大勢の人から「死ぬのはやめろ」と言われると、死ぬ気がなくなっちゃうんですね。それで、半年くらいたってから「以前、死にたいと言った者ですが、今は元気で生きています」というリプライが届いたこともあります。