ホッチの暴言・暴力だけではない……私たちが知らない『クリミナル・マインド』の7つのこと
その中の最初の章「Derek」(シーズン11第16話)は、トーマス・ギブソンが監督。むごたらしい拷問シーンと摩訶不思議なシーンが交互に登場するが、拷問/銃撃シーンがあまりにもリアルだと話題になった。それもそのはず、この拷問シーンは「強い痛みを伴いながら化学やけどを起こす白リンで拷問される」という設定なのだ。敵を倒したデレクが傷になにかをかけているシーンがあるが、これは「危険な白リンを除去するために、硫酸銅で傷を洗浄している」から。あまりにも細かすぎるが、リアルに描くためあえてこういう設定にしたという。
また、デレクでの銃撃シーンに登場するのは、米麻薬取締局の元捜査官や武道家。アクションシーンを担当するスタント・コーディネーターが、「このシーンは、これまで以上にリアルに撮りたい」として彼らを採用したのだ。誘拐、拷問、銃撃シーンに関しては、丸一日かけて入念なリハーサルが行われた。撮影は緊張感あふれる中進んだが、終了後はみなリラックス。その様子をトーマスはインスタグラムで紹介している。
なお、3部作の中盤エピソード「The Sandman」(第17話)はデヴィッド・ロッシ役のジョー・マンテーニャ、最終章「A Beautiful Disaster」(第18話)はリード役のマシューが監督。シェマーが番組のみんなから愛されていることがよくわかるとファンを喜ばせた。
■スピンオフはイマイチ
『ロー&オーダー』『CSI:科学捜査班』『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』など、高視聴率犯罪系ドラマはスピンオフ(派生)ドラマも大ヒットする傾向にあるとされている。しかし、『クリミナル・マインド』に限ってはスピンオフは大コケ。今年3月から放送開始された海外が舞台の『Criminal Minds: Beyond Roarders』は低視聴率ながらもシーズン2が決定したが、11年に放送された『クリミナル・マインド 特命捜査班レッドセル』は1シーズンで打ち切りとなってしまった。
『レッドセル』はアカデミー俳優のフォレスト・ウィテカーを主演に迎えたもので、前評判は上々だった。FBI長官直属の非公開捜査班の活躍を描く作品で、チームのリーダーはフォレストが、副リーダーには『24-TWENTY FOUR-』シーズン7のFBI捜査官ジャニス・ゴールド役でお馴染みのジャニーン・ガラファローがキャスティングされ、確実に成功すると見られていた。
だが、ジャニーンは放送開始前に受けたインタビューで、「私は別に厳格な人間じゃないけど、もし子どもがいたらこの番組は絶対に見させないわね」ときつい口調で言い、「出演契約にサインする際、プロデューサーやクリエーターとじっくり話し合い、さほど暴力的なシーンはないと信じさせられたのに……」と告白。暴力的なシーンやひどい状態の遺体を発見するシーンは耐えらなくなると明かした。プロデューサーにも、この問題を伝えているそうだが状況は変わらないようで、「非難するわけじゃないけど。なんで(暴力的なシーンが嫌だと主張している)私を採用したのか不思議。光栄だけどね」と文句タラタラ。
大手タブロイド紙ナショナル・エンクワイアラーも、放送開始直前に、「フォレストが、ゲスト出演したジャスティン・ベイトマンが立て続けに台詞を間違えたことに激怒して、撮影所から出ていった」と報道。ジャスティンは『ファミリータイズ』でマイケル・J・フォックス演じるアレックスの姉を演じたこともあるベテラン女優。しかし、イラつくフォレストを前に緊張してしまい、正しい台詞が口から出てこなくなってしまったのだという。30分後、ジャスティンが蚊の鳴くような声で「ごめんなさい」と謝ると、フォレストは、「ちゃんと台詞を言えるようになるまで、オレを呼ぶな!」と怒鳴り、撮影所から出て行ってしまったとのこと。結局、編集でつなげてシーンを作り上げたそうで、現場はピリピリしていると伝えられた。
この報道の影響か、「『クリミナル・マインド』よりも、チームが結束していないように感じる」「フォレスト演じるチームリーダーが、短気で怖いと感じる」といった声が上がり、視聴率は低迷。シーズン1で打ち切られてしまったのだった。