女児持ち専業主婦はゆったり、男児持ちWMはカツカツ……「nina’s」の属性刷り込みがスゴイ
■「子どもがいる」はママにとって最高のエクスタシー
続いては「デザイナーmamaのスタイルある暮らし」。「nina’s」理想のWMとは、やはりこの人たちでしょう。リードには「ママとして、そしてひとつのブランドを作り上げるクリエイターとして、毎日どんな日々を過ごしてそのクリエイティビティを保っているのか、また子どもとどんな暮らしをしているのか…」とあります。
「nina’s」お馴染みのスペイン在住デザイナーや女優兼デザイナーの野波麻帆ら、ママ業とデザイナー業を両立しているクリエイティブな母さんがデザインのポリシーや育児と仕事の切り替え、子どもがいる悦びなどを語ります。
「私にとっては、現場から帰ってきても子ども達の顔を見れば、必然的に母のスイッチが入るので、そこが最大のリセットです。家庭がなかったらかえって大変だったかなって思う。だから子どもたちには助けられています」
「衣食住全部、その季節を感じたいと思っています。子どもが生まれてから、1か月がものすごく早く感じて。春だったのにもう夏で、冬の服を作っていたりして。もっと季節を大事にしよう。オクラ、夏ね! って体で感じたい」
人間に与えられた時間は有限。仕事にのめり込めばのめり込むほど、どうしたって家事や育児にあてる時間は少なくなる。時にまとわりついてくる子どもを恨めしく思ったお母さんもいるでしょう。デザイナーmamaたちは、そんなママたちのジレンマをヒラリと飛び越え、「子どもたちと一緒にいられる時間は、一生から考えたらものすごく短いってそのときに気付いて」「子どもがいると、打ち合わせなど明日行きます! っていうのは難しいし、実際思い通りにいかないことは100倍増えたのですが、その中で楽しみを見つけてやりたい」「むしろ出産前よりもエッジが効いた部分があるかもしれません(笑)。ファッションを楽しみたい気持ちは、より強まりました」と、子どもがいる意味、子どもがいる今だからこそ得るクリエイティビティを語るのです。
おそらく「nina’s」読者たちはデザイナーmamaたちを羨ましく思う一方で、自分たちも同じ“ママ”という属性であることを誇らしく感じているはず。それが、この雑誌が支持される所以だと思うのです。あのママたちは子育てをあんなプラスに考えているのに、私はどうして旦那が手伝ってくれないとかママ友づきあいが辛いとか、そんな小さなことに悩んでいるのかしら……と。「nina’s」はこうして今日も少しずつ無垢なるママたちを幸せな思考停止に追い込んでいくのでしょう。
(西澤千央)