『SMAP×SMAP』、解散へ向かう中でも輝くSMAPという“チーム”の凄みと美しさ
茉秋選手は、「お母さんに買ってきてと言って、買ってきてもらったCD」「当時、一番流れていた」「今も好きです」と語った。そのおおらかさ、素朴さも含め、本当に今のゲストとしてベストな人選だったと思う。
解散発表以降、日々、テレビでは「世界に一つだけの花」「らいおんハート」「夜空ノムコウ」をBGMに、悲痛な調子でSMAPの話題が繰り返され、さまざまな媒体により、さまざまなウワサや臆測が囁かれてきた。実際、ファンの悲しみ、嘆き、空虚感は察するに余りあるものだろう。
でも、そうした報道により、SMAP関連の番組を見ること自体、暗く重くつらい思いになって、目を背けている人も多数いるだろう。
ところが、この日の『SMAP×SMAP』には驚いた。5人揃ったSMAPがあまりにも「SMAP」だったから。仲が良いとか、不仲とか、そんなつながり方をしているわけじゃない、プロ集団の凄みを見た気がしたからだ。
解散の本当の理由などわからない。でも、残念ながら「年内解散」が正式発表されたことによって、SMAPは今、「解散」という1つの事実に向かって、それぞれのスタンス・アプローチ法で、有終の美を飾るために全力で歩み始めたように見える。
SMAPの美しさって、ヌルい「わちゃわちゃ」感なんかじゃなく、まったく違う性質・価値観・考え方の人たちが1つの目的を持ったときに、個々の力を持ち寄って、ともに成し遂げようとする、プロとして、チームとしての美しさなんじゃないだろうか。
そう思うと、12月31日に向けて、もしかしたらSMAPはこれから過去最高の輝きを見せてくれるかもしれない。
にもかかわらず、不思議なのは、さまざまな報道や、世間の声だ。
一時は「木村拓哉=裏切り者」説や「メリー副社長老害説」で盛り上がり、その後は「香取慎吾が原因」説で盛り上がり、この日の『SMAP×SMAP』においては「ギスギスした感じが見るに堪えない」「もうやめてしまえ」の声が続出。おまけに「木村と香取はやっぱり別々のチームだった」などと、これまで番組を見たことがないような妙なツッコミまで出ていた。
さらに恐ろしいのは、SMAP関連の報道がすでに沈静化しつつあるなか、これらのまったく異なる方向性のバッシングを、SMAPにもジャニーズにも興味のない人たちが掌返しのようにそのときどきの時流にのって、一斉にやっていそうなこと。そして、色眼鏡で「見た」気にだけなって、一通り誰かをバッシングすることに飽きたら、去っていきそうなこと。
メンバーの本当の思いや関係性など、一視聴者にはわからない。でも、この日、彼らが『SMAP×SMAP』で見せた姿は、本当に「SMAP」だった。それを色眼鏡で見てしまうのも、年末にかけてのSMAPの活動を見逃してしまうのも、なんだか非常にもったいない気がした。
(田幸和歌子)