リオは危険なだけじゃない! 旅行通が語る、世界中の人を惹きつける魅力とは?
――ブラジル料理についてはいかがですか?
ルーカス 最初、食べ物は期待していなかったんですけど、肉がおいしくてびっくりしました。ポルトガル料理の影響もあって、魚料理などのおいしいレストランがたくさんあります。
嵐 ただ味は日本と違って単調なので、ちょっと飽きるかな。
ルーカス そうですね(笑)。あとマンゴー、パパイヤ、バナナなどのフルーツも種類が多くて、どれもおいしい。地方へ行くと新鮮な野菜が多く、野菜料理も豊富で、僕は好きでした。
嵐 実は、野菜の栽培を広めたのって、日系人なんですよね。彼らが入植してからいろいろな野菜を作り始めたんです。ブラジルって昔はほうれん草とかじゃがいもくらいしかなかったそうなので、農業に関して日本人の貢献はとても大きくて、その歴史を知っているブラジル人は、日本人をとても尊敬しているそうですよ。
黒豆と肉を煮込んだフェイジョアーダは、ブラジルを代表する国民的なグルメのひとつ。ブラジルをはじめ、アンゴラなどポルトガルの旧植民地でよく食べられている料理で、それぞれの国ならではの食材を取り入れ、独自に発展しているとか(「PAPERSKY no.50」より、撮影/高木康行 Yasuyuki Takagi)
――あとは音楽でいえば、ボサノヴァも有名ですよね。日本で言うところの、どのようなジャンルの音楽にあたるのでしょうか?
嵐 僕は、日本の演歌のようなものだと聞きました。若い人はあまり聴かない感じがしました。歌っているのは、おじさんたちが多いかな 。
ルーカス 若い人たちがボサノヴァを聴くのは、珍しいかもしれないですよね。でも、観光客の人は、ボサノヴァ目当てでライブハウスに足を運んでいるみたいです。よく聴くと、詞が面白いんですよ。詩人が歌詞を作っていることが多いので、とてもいいんです。ポルトガル語は、音とか響きがとても美しいので好きですね。
ボサノヴァの生ライブが楽しめる名門クラブ「Bottle’s Bar」は、コパカバーナの有名スポット(「PAPERSKY no.50」より、撮影/高木康行 Yasuyuki Takagi)
――熱量たっぷりに語ってくださり、ありがとうございます! これまであまりよく知らなかったブラジルの魅力について学ぶことができました。オリンピックの観戦と併せて街の風景にも目を向けてみたいと思います。
(末吉陽子)
嵐よういち(あらし・よういち)
1969年生まれ。東京都杉並区出身。20歳からイギリス、アメリカと留学(遊学?)して、その後、面白い写真を求めて海外を放浪、81カ国を渡り歩く。特に好きな地域は南米。著書に『海外ブラックロード―危険度倍増版―』『海外ブラックロード―最狂バックパッカー版―』『海外ブラックマップ』『南米ブラックロード』『アフリカ・ブラックロード』『ブラジル裏の歩き方』『世界「誰も行かない場所」だけ紀行』(すべて彩図社)などがある。
ルーカス B.B.
「PAPERSKY」編集長、クリエイティブディレクター。アメリカに生まれ、カリフォルニア大学卒業後、来日。ニーハイメディア・ジャパン代表取締役として、トラベル誌「PAPERSKY」やファミリー誌「mammoth」を発行しながら、ウェブサイトやイベントプロデュースなども行う。これまでに手がけた雑誌は「TOKION」「metro min.」「PLANTED」など。2014年にはNTTドコモのアプリメディア「japan jikkan」を創刊。また、ファミリー向け野外フェスティバル「mammoth pow-wow」や日本再発見の旅プロジェクト「PAPERSKY tour de Nippon」のイベントプロデュース等、幅広く活動している。