コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

神田うのが、実は「空気を読める」タレントであるワケ――嫌われている本当の原因は?

2016/06/30 21:00

 うのが「脱KY」を意識するようになったのは、「ベビーシッター窃盗事件」(ベビーシッターが、うのの高級ブランドのバッグなど1,300万相当を盗んだ事件。うのは被害者だが、「ベビーシッターが4人もいるなんて!」とバッシングされた)で、「家族に迷惑をかけた」ことがきっかけだそうだ。そのために、自分のことを「うの」と呼ばない、なんでもあけすけに発言しない、そして、ブログ内容が“セレブアピール”になっていないかアップする前に誰かに見てもらうなど、具体的な対策を取ることを発表していたが、うのはどうやら自分が嫌われる原因を「人に妬まれるから」と捉えているようである。

 しかし私は、「ベビーシッター窃盗事件」に関するバッシングは完全に妬みであるものの、うのが嫌われる真の原因は「自分は常に正しく、他人は間違っている」「人を下に見る」といった言動だと思っている。例えば、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に20代の頃出演した際、結婚願望がない理由について「一生愛せる自信がない。離婚した人は神様の前で愛を誓ってるのに、それを破っている。ちゃんと神様に謝っているのか?」と語っていた。うのがどんな結婚観を持っていてもかまわないが、他人に謝罪を要求するのはやりすぎである。

 不惑を過ぎても、うのの思考に変化はない。昨年出演した『徹子の部屋』でも、「『パチンコ屋なんてイメージが悪いのに、お嫁に来てくれてありがとう』とパチンコ業界の人に言われた」と発言していたが、自分の夫やその親族、将来の後継者である娘、従業員、そこでお金を使ってくれる人のことを考えたら、この発言をテレビですべきかどうかは判断がつくはずである。

 そんなうのだが、空気を読むのは長けている。『ノンストップ!』(フジテレビ)においても同様で、うのの共感性のないコメントは時々話題になるが、うのは共演者である博多大吉の話の腰を折ることはあっても、司会のバナナマン・設楽統には気を使っている。設楽の発言を遮ることも、しつこく自説を主張することもしないのだ。

 うののファンにとって、うのの自由なライフスタイルとセレブ生活は、魅力的に映ることだろう。「自分は常に正しい」という発想は、一言で言えば傲慢だが、うのはその傲慢を「恵まれてきたから」とすり替える、自己プロデュース力を持っているのではないだろうか。やっぱり神田うのは、空気が読めているとしかいいようがない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2016/06/30 21:00
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