出演フェスが中止となったカニエ・ウェスト、たぎったままゲリラライブを計画もファンが集まりすぎて頓挫
ラッパー、音楽プロデューサー、デザイナーと多方面で活躍するカニエ・ウェスト。彼は、6月3~5日にニューヨークのランドールズ島で行われた野外音楽フェス『Governors Ball Music Festival』で、5日のヘッドライナーを務める予定だった。しかし、この時期のニューヨークは雨期であり、5日は天気が荒れ、フェスの運営会社は「本日は荒天で落雷の予報が出ている」「ファンやアーティスト、クルーの安全は、なによりも最優先されなければならない」と、ショーのキャンセルを発表。天候という不可抗力によるもので、ファンは「残念だけど仕方ない」で終わるはずだった。しかし、テンションを最高潮にしてスタンバイしていたカニエは納得せず、すぐさまゲリラライブを計画し始めたのである。
カニエの最新情報を提供するサイト「Team Kanye Daily」のインスタグラムが、フェスのキャンセルを知らせる投稿をすると、そこにジャスティン・ビーバーを育てた敏腕マネジャーであり、カニエと仲の良いスクーター・ブラウンが、「乞うご期待」というコメントを残していたことにファンは注目。続けて、5日の夜、ニューヨークの人気ラジオ局「Hot 97」局が主催する東海岸最大のフェスと呼ばれる『Hot 97 Summer Jam』にカニエが特別出演することが発表された。カニエは、ニューヨークの隣のニュージャージー州で開催されていたこのフェス会場に移動し、熱いパフォーマンスを披露した。
パフォーマンスが行われている最中の午後10時、カニエのクリエイティブ・ディレクターであるヴァージル・アブローがインスタグラムに「今は、Summer Jam。午前2時には、マンハッタンでPABLO(※カニエの最新アルバム『The Life of Pablo』のこと)を行う。どこでやるか選んでいるところだ」というメッセージ付きで、ミーティング中のカニエの写真を投稿し(今は内容が変更されている)、ファンを喜ばせた。
一体、マンハッタンのどこで、カニエの電撃ライブが行われるのか? ファンはわくわくしながら情報収集を行った。そんな中、ヒップホップ&インディロックの情報サイト「Pigeons & Planes」が、「カニエのショーは、午前2時にウェブスター・ホールでやるよ」と告知するラッパーの2チェインズの動画をTwitterに投稿。午前1時には大勢のファンが会場前に集まってきた。人だかりは瞬く間に増え、最終的には4,000人近くが集まったと米メディアは報じている。歌ったり、踊ったりと興奮状態だったファンだが、時間がたつにつれ、止めてあった車のフロントガラスが割られるなど暴動前のような雰囲気が漂い、逮捕者が出る騒ぎに発展していった。
カニエだが、1時過ぎに「午前2時のショーはソールドアウトだ」とご機嫌にツイートしていたものの、このままでは警察に止められると察し、行動を開始。妻のキム・カーダシアンは写真・動画共有サイト「Snapchat」で、カニエが「市長に電話して、この地区、道を封鎖してもらってくれ。集まってくれたみんなと外でパーティーできるように。ソールドアウトなんだぜ」と、熱く指示を出している動画を公開。しかし、このままではあまりにも危険だとして、ニューヨーク市警は電撃ライブの中止を命じた。