カルチャー
中郡暖菜氏×嶋浩一郎氏トークイベントレポ

「LARME」女子とは何者か? ファッション、SNS、男性観に見る“新種のギャル”像

2016/06/11 16:00

と、中郡氏は「LARME」女子の趣味趣向が、一般的な10代後半~20代女性のそれとは異なっていることを指摘しながら分析。無理に周囲に合わせようとせず、“日常を自分が可愛いと思う世界観に統一する”という一種の演出・編集作業がみられるのが、「LARME」読者によるSNSの使い方なのだとわかる。嶋氏は彼女たちのことを「とてもコレクター的」であると評した。

「LARME」編集長・中郡暖菜氏

■社会現象にもなる「LARME」
 話は、「LARME」でこれまでにヒットした企画に及ぶ。まずは「LARME」004号の“ロリータ”特集。S.キューブリック監督の映画『ロリータ』(1962年)をイメージサンプルに、モデルの衣装やポーズだけでなく、中郡氏の私物を使うなど小物やセットにもこだわり抜き、「甘くて可愛い」が「どこか毒のある」女の子や美しい世界観を表現した。すると、撮影当時には入手しづらかったギンガムチェック柄の服やハート型のサングラスなどが掲載後にブームとなり、多くのアパレルショップで取り扱いされるようになったという。ヒットした理由について、中郡氏は「古い映画だが、今の若い子たちの目には新しく(可愛いものとして)映ったこと」「読者があこがれるような映画の主人公になりきれるように作り込めたこと」を挙げていた。

 また「LARME」006号に初掲載された着回し特集も話題となったようだ。中郡氏は「これまで着回し特集はやらないと宣言していたんですけど……」と苦笑しつつも、「私は変わっていくことが好きなので、1周年を機に挑戦してみました」と、常に進歩していこうとする自身のスタンスを表明した。この特集では“ロリータ・ガール”というテーマを掲げ、「全て同じテイストで統一」。「数少ないアイテムで、さまざまなテイストのバリエーションを見せる」という女性ファッション誌の定番である着回し特集と比べると、異例の内容であったが、読者には大好評であったそう。掲載された服は飛ぶように売れたという。「全て同じテイスト」というブレない姿勢が、自分の世界観を大切にするコアなガーリーファンの心をガッチリつかんだのかもしれない。

■age嬢もLARME女子も、“新種のギャル”である
 序盤で触れた「『小悪魔ageha』と『LARME』の根底に共通する“ギャル”のメンタリティ」についても、中郡氏は自身の過去を振り返りながら分析した。「ギャルを極める」ため、中学生ながらギャルサーに所属した過去を持ち、「『小悪魔ageha』に日本一詳しいファン」を自称する中郡氏は、独自のギャル論を展開。「クラスに数人しかいないギャルはいつでもアウトサイダーだが、とても自由な存在。『こうじゃなきゃいけない』という決まりがまったくない」(中郡氏)と言い、つまり自由を体現しているアウトサイダーという意味では、age嬢もLARME女子も、“新種のギャル”であると力説した。

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