「私は輝いてるという実感は幻」婚外恋愛サイトの運営者が明かす、不倫のもたらす絶頂と絶望
サイトは、非常に和やかな雰囲気だったという愛依さん。しかし「婚外恋愛」というデリケートな題材を扱っていたことにより、多方面から攻撃されることはなかったのだろうか?
「当時は今みたいに『一億総コメンテーター』状態ではなかったので、それほど大変なことはなかったですね。今だったら叩かれて大変だったと思うんですけど……。ただ私のサイトとは逆バージョンの『不倫をされている人』が集まるサイトの人たちからは、攻撃されたことがありますよ。『2ちゃんねる』のような匿名サイトに、うちの投稿記事を晒されたり、やり玉にあげられたりとかはしましたね。今だったら本当に大変だったと思います、あの頃やめて本当によかったと感じますね」
数年の運営の後、仲間内でのトラブルが起きてしまい、愛依さんはサイトを閉鎖することになる。しかし当時の仲間たちがまだつながっているというから驚きだ。
「婚外恋愛を卒業した人も大勢いると思うのですが、それでも昔ぶっちゃけ話をした相手は『婚外恋愛』という共通項目がなくなった今でも気が許せるんですよね」
■現実逃避の手段を手放す怖さ
愛依さんは、ご自身が婚外恋愛をしていた当時を振り返り、こう話してくれた。
「私自身、婚外恋愛常習者でしたから、当時の自分を振り返ると、常に生き生き、キラキラしていました。でも、夫の転勤というきっかけで、突然『彼』という存在を奪われた時、目に映る景色がまるで違ったんですよね。それまでカラフルだった景色がグレートーンに見えるようになってしまった。それが現実なんですけどね。そのときに『婚外恋愛をしていた時の、私は輝いているという実感は、自分自身の実力によるものではなかった』と気付いたんです。今までの輝きは幻だと気付いた時は、結構苦しかったですよ。今は婚外恋愛に頼らずに、生活を充実させようとは思いますけれど、婚外恋愛は一番手っ取り早い方法ですよ。そこに気づいている人とそうではない人がいます」
「婚外恋愛は幻」という愛依さんの言葉は、現在も婚外恋愛中の人々にどう響くだろう? 婚外恋愛中の方へのアドバイスを尋ねると「何も言いません」と笑ったが、こう答えてくれた。
「私の経験談を話して、相手の話を聞きますね。そして、『婚外恋愛をしなくても、人生は楽しいんだよ』と相手に伝えるかもしれません。でもまぁ、婚外恋愛をしている人たちは、他人の言葉は耳に入りませんよ。人がアドバイスしたところで当事者はやめられないと思うし、向き合うのも怖いんじゃないかと思います。何かから目を背けたいという時に、現実逃避の手段である婚外恋愛を手放すのは、とてもつらいことですし。だからやっぱり、あえて何も言いません」
現在は「不倫」というワードが出てくると、身内どころか不特定多数の人々からも一斉に袋叩きに遭う時代となった。愛依さんが当時運営していた「駆け込み寺」のようなサイトが存在しない今、婚外恋愛中毒者である彼らは、その道から抜け出すことができるのだろうか?
(いしいのりえ)