ネコリパブリック代表・河瀬麻花さんインタビュー

大阪にネコビルを作る意図とは? クラウドファンディングで資金集め中の猫カフェ社長に聞く

2016/05/15 17:00

■2年で230匹が里親のもとに

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1階の猫カフェバー「SOMETHIN' NEW YORK」では、世界のビールが楽しめる

――店の内装やインテリアにはどのようなコンセプトがありますか。

河瀬 保護猫に関する啓発だけでなく、正しい猫とのライフスタイルの提案をする場なので、臭かったり、汚かったりしてはいけないと思っています。さらに生活に溶け込む、みんなが憧れる猫との生活をイメージしてもらえるように、インテリアにはおしゃれなものを厳選して置いています。そうすることで猫と暮らしたい人が増えたらステキなこと。保護猫たちの里親さんが増えるということにつながるので。

――ネコリパブリックの今までの活動で、どれだけの猫が里親に譲渡されましたか。

河瀬 ネコリパブリックが始まってまだ2年くらいですが、新しい飼い主さんが決まった子は全体で230匹ぐらいです。大阪の猫たちは、人に慣れていない怖がりな子が多いので、なかなか里親が決まらないんですよ。ただ、そういう子たちに愛情を持って、カフェにリピートして来てくださるお客様はすごく多いです。他の店舗も譲渡数はだいたい同じくらいですね。でも東京は里親になるという文化が根付いているので、スピードが早いです。


――クラウドファンディングはどのような方が支援するのですか。

河瀬 一緒に作り上げるという思いがある方が多いと感じています。「ネコ市ネコ座」や、そのアフターパーティーの資金集めを目的としたクラウドファンディングでは、一緒にイベントを作る実行委員のように思ってくれる方が多いです。東京店を作る資金集めのクラウドファンティングの時は、支援してくださった方が自分のお店のように思い、リピーターになったり、ボランティアに参加したり、別のお客様を連れて来てくださることもありました。またクラウドファンディングがきっかけでネコリパブリックを知って、応援をしてくださる方もいます。「楽しみながら猫助けができる」と感じてもらえることが支援の理由だと思います。

■猫ブームの背景と問題点

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4階には猫と昼寝ができるプライベートスペースがある

――現在の猫ブームには、どのような理由があると思いますか。

河瀬 ネット上の動画、写真、その閲覧数は動物の中で圧倒的に猫が多いと思うんです。猫を飼ってない人でも、動きや表情がかわいい、面白いと思うのでしょう。それがきっかけで、猫好きな人が増えるのはいいことだと思います。ただのブームで終わらせず、「保護猫ブーム」にしていきたいです。


 保護猫をメジャーにしたいのは、譲渡する時に審査や面談があり、生き物を飼うことの責任を感じてから飼ってもらえるからです。猫は生き物だから、「かわいい」という理由だけで簡単に飼うのは危険です。生態や、何年生きるかなどを調べずに、覚悟もないのに飼うのはやめてほしいです。

――2016年4月21日に東京・墨田区の猫カフェの運営会社が都から業務停止の処分を受けましたが、これについてはどのようなご意見をお持ちですか。

河瀬 基本的に猫カフェだけでは利益を上げられないんですよ。猫の世話や、命に対する責任が生じるんで、その手間やお金を惜しんじゃいけないですね。猫で儲けようという人たちは、猫カフェをやるべきではないと思う。

 私たちは「猫の殺処分ゼロ」という目標があって、その解決方法として猫カフェをやっています。さらに保護猫カフェをやるための収益を、猫カフェとは別のカフェ「SOMETHIN’ NEWYORK」や、「ネコ市ネコ座」などのイベント、オンラインでの猫グッズ販売などで集めています。ビジネスでありながら、いつだって猫が優先です。
(谷町邦子)

最終更新:2016/05/15 17:00
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