カルチャー
ネコリパブリック代表・河瀬麻花さんインタビュー

大阪にネコビルを作る意図とは? クラウドファンディングで資金集め中の猫カフェ社長に聞く

2016/05/15 17:00
ネコリパブリック代表の河瀬麻花さんと保護猫のススムくん。手前は同社発行の新聞「ネコリペーパー」

 2022年2月22日までの「猫の殺処分ゼロ」を目指す、株式会社ネコリパブリックは、地域の保護猫団体とともに保護された猫(保護猫)の譲渡を行いながら、猫の飼育費や従業員の給与などを猫グッズの販売、猫カフェの入場料などの収益でまかなう「自走型保護猫カフェ」。岐阜で誕生し、大阪、東京、愛知にも店舗を持つ同社が、大阪心斎橋店の店舗の移転に際して、周防町通に保護猫のための複合施設「ネコビル」を作る計画を立て、資金をクラウドファンディングで募集している。

 ネコビルは5階建てで、1階は広いケージにいる猫を眺めながらドリンクやフードを楽しめる猫カフェバー、2階は猫モチーフの雑貨や猫についての書籍を販売する「ネコ市ネコ座」、3階は猫と触れあえる保護猫カフェ「ネコリパブリック」、4階は猫のいる空間でくつろげるプライベートスペース、5階は猫のいる会員制のシェアオフィス・コワーキングスペース、そして屋上は猫好きのためのイベントや交流の場になるという構想である。

 この「ネコビル」プロジェクトの意図やクラウドファンディングの手ごたえについて、同社代表の河瀬麻花さんに話を聞いた。

■楽しみながら保護猫について知ってもらう

図面を描くのが趣味という河瀬さん自ら設計を手がけた

――「ネコビル」を作る計画にはどのような目的があるのですか。

河瀬麻花さん(以下、河瀬) 以前の店舗は心斎橋筋商店街の雑居ビルの3階にあったため、通り過ぎられてしまい、たまたま店を見かけて来店される方はほとんどいませんでした。もともと関心の強い方は検索して来てくださいますが、入りやすく面白そうな場所にして、保護猫に興味がない、通りすがりの方にも来店していただき、猫たちと触れ合ってかわいさを感じてもらいたい。そこから、この子ってこういうふうに捨てられて、こんな悲しい過去があるのだということを知ったら、一気に意識が変わると思うんですよ。

――自走型猫カフェの経営では、どのようなことを重視していますか。

河瀬 会社を経営するのと同じで、お客様の満足度を高め、サービスの対価をもらうということを大切にしています。そうすることで、保護猫に対する取り組みに共感していただきやすくなるとも思っています。

 ただのサービス業ではなく、「猫の殺処分をゼロにしたい」という理念を掲げる会社として、啓蒙にも取り組んでいて、撫でたり、抱っこしたり、一緒に遊んだり、おやつをあげたりと、楽しみながら保護猫について知ってもらうことにも力を入れています。猫をケージに入れて「かわいそうだから助けてください」という状態でお客様を迎えても、「飼えなくて申し訳ない」となってしまう。そうではなく、ここに来ることや、ここで猫たちを撫でることも支援になる、ということを広めたい。

――猫に興味のなかった人にも、ネコリパブリックの活動を通して理解してもらえたことはありますか。

河瀬 例えば猫雑貨の販売や保護猫についての映画上映など「猫のための猫祭り」や「ネコ市ネコ座」といったイベントに参加してネコリパブリックの存在を知った方や、弊社が年4回発行している新聞「ネコリペーパー」を読んで感動してお店まで来てくださる方もいます。そこで里親になる方もいます。猫はかわいいと思っているけど、殺処分の問題を知らなかった方が、保護猫カフェの存在や、命を救える仕組みを知り、行動してくださることも多くあります。また普通の猫カフェだと思って来店し、全ての猫が譲渡対象だと知り驚かれる方もいます。人って楽しいことから入ると拒絶しないし、根っからの悪い人ってほとんどいないと思うんです。興味をちょっと引くだけで、変わる人は確実に変わります。

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