コラム
[連載]悪女の履歴書
「上野小2殺害事件」――37年前から続く「母親の責任」「心の闇」という断罪
2016/05/04 19:00
◎膠着した究明方法
こうした未成年による“大人から見て不可解な事件”は、非行や貧困、生育歴とは別の概念で考えることも必要なのではないか。例えば前回の「佐世保小6殺害事件」で指摘された発達障害など、さまざまな観点でのアプローチがあるべきだろう。もちろん当時、そうした概念すらなかったが、しかし今後の“不可解な”少年犯罪に対してのアプローチにおいて、40年近く前に起こった、少女による突き落とし事件は1つの参考事案になるのではないか。
昭和54年は小中学生の間でインベーダーゲームが大流行し、巨人に即日トレード入団した江川卓の「空白の1日」が大きな問題となった年だ。また『3年B組金八先生』(TBS系)のシリーズ第1段がスタート、中学生の妊娠、出産といったテーマに社会が揺れた。
そんな世情の中、10歳の少女が自分を「お姉ちゃん」と慕った3歳年下の少女をマンションから突き落とした。A子のその後の消息は報じられることはなかったが、現在A子が健在なら47歳になる。
(取材・文/神林広恵)
【参考文献】
『ぼく殺しちゃった』(林晴生 グロビュー社)
「新潮45」(2006年8月号)
「女性自身」(1979年11月1日号)
「週刊サンケイ」(1979年11月1日号)
「週刊朝日」(1979年10月26日号)
「週刊読売」((1979年10月28日号)
最終更新:2019/05/21 18:51