『月曜から夜ふかしSP』15%、福山「月9」に完勝! フジを潰した日テレの本気
4月11日、福山雅治3年ぶりの連ドラ主演となる『ラヴソング』(フジテレビ系)の初回が放送され、視聴率は10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東/以下同)に終わった。
「月9」という高視聴率が期待される枠にもかかわらず、出だしから大コケとなってしまったが、対して15.3%で同時間帯トップに立ったのは、その裏で同じく午後9時から放送されていた『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)。「春爛漫!日本の大大大問題 一斉調査2時間SP 」と銘打たれた2時間のスペシャルのうち、なんと約50分にわたってオンエアされていたのが、株主優待券だけで生活するおじさん、桐谷広人さん(66歳)の引っ越しだ。
桐谷さんは元プロ棋士で、2007年に現役を引退しているが、当時から財テク術に優れ、現在は目下、企業の株主優待券だけで暮らしている人物。「日経マネー」(日経BP)や「ダイヤモンドZAi」(ダイヤモンド社)など財テクに関する雑誌にも登場したり、『家計診断 おすすめ悠々ライフ』(NHK)などへのテレビ出演も多い。
しかし、彼の世人離れしたキャラクターに目をつけたのが先の『夜ふかし』だった。有効期限が切れないうちに優待券を使い切るべく、1日5~6回チェーンが切れる自転車で都内を爆走。バイタリティあふれる優待生活を追いかけ続け、桐谷さんもブレーク、番組人気も上昇した。
そして今回のスペシャルでは、そんな桐谷さんが、24年間住み慣れた、手狭だったアパートから新居に引っ越すところに密着。スタッフが桐谷さんのアパートを訪ねたのは、番組のナレーションによると3月下旬。それから新居の内見、契約、さらには同時に「桐谷ブラックホール」と称される、本8,000冊以上、ダンボール150箱分という“ゴミ屋敷”の掃除も行われた。
「3月下旬に引っ越し準備を始めて、放送日が4月11日だったことを考えると、相当急な引っ越しだったと思われます。つまり、福山雅治の月9ドラマの出鼻をくじこうとする番組スタッフの本気の現れだったのでしょう。福山が月9に出ることは2月頃から発表されていましたし、裏番組にどんなブログラムが来るのかは大体1カ月くらい前から他局にもウワサでのぼってきます。そこで、日テレの編成はうまくタイムテーブルを調整し、月9の裏に『夜ふかし』を据えたということでしょう」(業界関係者)
そして、日テレの戦略は功を奏し、素人の引っ越しドキュメントが福山を潰す結果となったのだ。まだ見ていない方にはネタバレになってしまうが、『ラヴソング』は、元プロミュージシャンで今は臨床心理士をしている、福山演じる神代広平と、吃音で、人とコミュニケーションを取るのが苦手な自動車整備士・佐野さくら(藤原さくら)の2人のラブストーリー。初回のクライマックスは、ラストシーンだった。
「神代のかつてのバンド仲間で、現在は言語療法士でクリニックを開業している宍戸夏希(水野美紀)のもとで、さくらは吃音を緩和するための音楽療法をスタートさせました。神代が帰ろうとしたその時、さくらはそっとささやくように、歌い始めます。その歌声につられて神代も、過去のトラウマから長年放置していたギターを再び手にして、彼女の歌に合わせるように爪弾き始めたのです」(テレビ誌ライター)
そんな『ラヴソング』の物語が大きく動き出したまさにその瞬間、裏番組の『夜ふかし』は何をしていたのかというと……。
「桐谷さんの引っ越し祝いということで、番組スタッフは、彼を三重にある人気の遊園地『ナガシマスパーラント』へ連れて行きました。桐谷さんはジェットコースターが大好きなのです。そして、日本初登場、世界最大級の超大型フライングタイプの『アクロバット』や、高さそして落差ともに日本一を誇る『スチールドラゴン2000』に搭乗。『ラヴソング』での、さくらの透き通るような歌声は、残念ながら桐谷さんの、この世のものとは思えない叫び声でかき消されてしまったようです」(前出・ライター)
今回は完敗した『ラブソング』だが、まだ逆転の余地はある。ドラマの演出を手がけるフジテレビ・西谷弘監督は、『ガリレオ』シリーズや、その映画化作品でもメガホンをとり、『容疑者Xの献身』『真夏の方程式』でもビッグヒットを飛ばした名演出家として知られる。今回の『ラヴソング』の現場でも、福山とかなり時間をかけてキャラクターを作りこみ、撮影に臨んでいるという。
果たして福山神話は復活するのか、それとも坂を下っていくのか。いずれにしても、リアルタイム視聴率に関していうと、作りこんだドラマより気楽に見られるバラエティの方が強いということが言えるかもしれない。
(後藤港)