「ちょっと可愛いオバチャン」を演出する、ベテランアナ・安田美香のいやらしさ
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の芸能人>
「それ、言わないでくださいよ」安田美香
『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ、4月11日)
世間の人が笑っていても、私にはまったくもって面白くないことはよくある。
例えば、超長寿ラジオ番組『大沢悠里のゆうゆうワイド』(TBSラジオ)が終了し、その後を引き受ける形で始まった『伊集院光とらじおと』での一コマ。メインパーソナリティーは伊集院光で、曜日ごとにアシスタントが変わり、番組初日のアシスタントはフリーアナウンサーの安田美香(41歳)。二児の母である。
なんでも、スタジオ入りした伊集院は、安田がコートも脱がずに“涙目”であることに気づき、「どうしたの? スタッフに怒られたの?」と声をかけると、「緊張のあまり」パジャマの上にコートを着てきてしまったことを打ち明けられたというのだ。
ちなみに移動手段は地下鉄で、パジャマであるものの、化粧はきちんとしてきたそうだ。どんなパジャマを着ていたのか詳細は不明だが、靴や靴下を履くときに気づかなかったのだろうか。本人いわく「緊張のあまり」身支度をどうやってしてきたのかについて、記憶がないらしいが。「本当はこの日のために、本田翼ちゃんふうの洋服を買ったのに」と残念がっていた。家に着替えを取りに帰る時間はなく、朝だったため店もやっておらず、結局マネジャーの服を借りて出演することになったそうだが、聞けば聞くほど、巧妙にできた“うっかり”である。
まず、化粧はきちんとしていること。メイクしているのに、パジャマで来た場合、それは明らかに“ミス”なので、周囲がわかりやすい。また、化粧をしているということで、寝坊して身支度に時間がかけられなかったという誤解をさけることもできる。
それに、パジャマで来てしまったことに気づいたら、すぐにマネジャーに服を借りればいいのに(着替えだけでいったら、ものの5分もかからないだろう)、伊集院に“気づかれるまで”着替えないのも巧い。さらに“涙目”で伊集院に質問するまで待っていることや、本田翼という自分よりはるかに若い女性タレントの名前を挙げ、「(本田翼には)ならね~よ!」というツッコミを誘発し、ちょっと可愛いオバチャンを印象付けていることなども巧妙だ。
少女マンガ顔負けの“うっかりミス”を話そうとする伊集院に対し、安田は「それ(パジャマで来ちゃった事件)を言わないでくださいよ~」と制していたが、こんな精密なボケを話さないわけがないだろう。