コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

藤原紀香は“自分に萌える”女――愛之助との結婚会見にほとばしった「尋常ではない自己愛」

2016/04/07 21:00

 「自分は控えめだから、どうぞ褒めて」と言いたかったのだろうか。紀香は会見内で、愛之助の“いいところ”として、「思った以上に亭主関白」な点を上げた。愛之助は「男は台所に立つな」という家庭で育ったので、包丁を握ったことがなく、メロンを切ることすらできなかったそうだが、「亭主関白を良し」とするのは、実は自分に高い価値があると信じているタイプの女性ではないだろうか(控えめな女性は、亭主関白が普通だと思っているので、それを良し悪しで見ていない)。「こんなに価値の高い自分」なのに“格下”陣内と結婚してやり、「こんなに価値の高い自分」が、男に命令されて、わざわざメロンを切ってやる。どちらのケースも、そんな自分に“萌えている”という意味で、紀香は一切ブレていないのだ。

 着物選びにも、紀香の“自分萌え”が表れている。結婚会見用にオーダーした藤色の訪問着には、紀香の誕生花ダイヤモンドリリーとカサブランカが描かれていた。紀香と親交のある「美しいキモノ」(ハースト婦人画報社)の女性編集者によると、紀香は名字が藤原ということもあって、藤色が好きらしい。自己愛の塊のような着物は、有識者のみならず、一般人からも失笑を買ったが、紀香にはその理由がなぜか理解できていないのではないだろうか。恐らく、紀香的には自分にちなんだ着物を着ることが“素直な気持ち”だからである。

 紀香は自分のブログで、歌舞伎界の人に「悪口は聞き流しなさい」とアドバイスを受けた話を披露していたが、最後になぜか「悪口はほめ言葉」と謎の拡大解釈をしている。どうも周囲が自分に嫉妬していると解釈したい様である。自らのミス故にバッシングされても、それすらも褒め言葉と解釈する、尋常でない自己愛の強さ。誰と結婚しようが、いくつになろうが、自分がどう見えるかが一番大切。紀香にとって、男の格は問題ではない。なぜなら、全ての男は単なる脇役で、花道は紀香のためのものだからである。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2016/04/07 21:00
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