カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」4月号

古市憲寿&武田砂鉄の男性論客登場! 「VERY」が掲げる“基盤”へのシニカルな問いかけ

2016/04/05 19:50
「VERY」2016年4月号(光文社)

 今月の「VERY」(光文社)は、新連載が3つスタートしています。1つは、「MY KITCHIN 暮らしの生まれる場所」というもので、毎月違う著名人が登場して、キッチンと食について語るというもの。その他2つの新連載は、それぞれ古市憲寿さんと武田砂鉄さんという男性の論客によるコラムです。早速内容をチェックしていきましょう。

<トピック>
◎MY KITCHIN~暮らしの生まれる場所~
◎「それってこっちのほうがよくないですか?」古市憲寿の未来社会学
◎武田砂鉄のVERYな現場ルポ「猫に基盤」

■「どっちでもよくないですか?」って言わないで!

 古市さんの連載のタイトルは、「未来社会学」。なぜ未来を取り上げるかというと、「それは、子どもが生きる時代が『未来』だからだ」とあります。

 今月のテーマは「人口問題で考える『未来』」。人口問題という視点で未来を見ると、「これからの日本の未来に明るい要素はあまりない」と古市さんは言います。高齢者が増え、年金はかさみ、保育園や幼稚園は整備されない、若い人も減ると消費も冷え込み、地価は上がり、税金は増える。東京オリンピックまでは「何とかお祭り騒ぎが続くかもしれない」ものの、その後はやはり明るくないと見ているそうです。

 しかし、それでも古市さんは「未来はただ暗いだけではない」と未来への希望を指摘します。これまでの半世紀を見ても、殺人事件で亡くなった人は減っているし、感染症で亡くなる子どもの数も減っている。2016年は、過去の半世紀よりもちょっとずつよくなっているのに、これからが悪くなるはずない。この国で悲観論ばかりが好まれているだけだというのが古市さんの結論。しかし、はて、人口から見て、これからの半世紀は、同じように殺人事件や感染症で亡くなる子どもが限りなくゼロに近づくのでしょうか……。

 悲観論と楽観論があれば、悲観論を好む日本の傾向については納得できましたが、人口から見て未来が明るくないことは、「悲観論が好きだから」で片づけられるのかどうか。何度読んでもわかりませんでした。

 古市さんは、この連載を読めば「少なくとも未来に対する『不安』は減るということだ。『不安』というのは、恐れの対象がよくわからないから起こる感情」とも書いていますが、この初回の連載を読んでいる限りでは、恐れに対する感情がはっきりして、「不安」が減った気はしなかったのですが、次回からの連載では、「不安」を減らしてくれることを期待しましょう。

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