コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

爆笑問題・田中との再婚を果たした山口もえに見る、“手に入れる女”の強さ

2016/03/31 21:00

 そういう意味で、“変わるのがうまい”のが、爆笑問題・田中裕二と子連れ再婚を果たした山口もえである。変わった声とおっとりしたキャラにもかかわらず、どこか野心を感じさせるもえがブレークしたのは、ドラッグストアのCM「何でも欲しがるマミちゃん」だった。初婚相手は、『世界バリバリ★バリュー』(TBS系)で取材をしたイケメンIT長者。私はその番組を見ていたが、もえの猛プッシュぶりはすさまじかった。ところが、二子をもうけるものの、夫が風営法違反容疑で逮捕されたことを機に離婚した。

 シングルマザーとなったもえは、かつてのおっとり路線を捨てた。『ごきげんよう』(フジテレビ系)に出演したときは、「一番の心配はお金」と金銭的な不安を率直に口に出すようになった。田中はデビュー当時からもえのファンで、自分の番組のアシスタントに起用したこともあるという一方、同番組で過去に安めぐみが明かしたところによると、もえは田中に男性的魅力がないため、ときめかないと悩んでいたそうだ。それでも交際を続けたということは、もえは男性的な魅力よりも、子どもの父親としての“堅実性”を重視したのだろう。そして、晴れて再婚を果たした後、もえは各バラエティ番組で、「田中は、毎日かわいいとかお料理がおいしいと褒めてくれる」「選んでいただいて幸せ」と幸福を強調していた。

 そのもえが29日にゲスト出演したのが『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ)である。友近が、交際中の彼氏と結婚する気はあるが、プロポーズ待ちというわけでもないと歯切れの悪い説明をすると、もえは「いつでも結婚できると思ってると、大体なくなる」と破局を予言し、スタジオ内の空気を変えた。

 また、『さんまのまんま』(フジテレビ系)において、田中が「もえは話を聞いていない」と語っていた。家の中で田中が話をしていても、もえは最後まで話を聞かず、違う部屋に行ってしまったり、話そのものを聞いていないことがあるそうだ。

 もし、自分のあり方にこだわり、他人との接し方において“変わらない”ことを信条とする人であれば、自分も2回の結婚で多少の苦労はしているわけだから、友近の結婚に水を差すようなことは言わないだろう。もし「選んでいただいて幸せ」と心から思ったのであれば、その気持ちはおのずと態度に出るから、夫の話は最後まで真剣に聞くだろう。

 私はもえが不誠実だと言いたいのではない。環境が変わるということは、あらゆる意味で“変わる”ということであり、“変わる”ことを割り切れない人は、新しい何かを手に入れられないと思うのだ。

 子どものいるシングルマザーの再婚は、何かとタイミングが難しいが、もえは田中と作った手作りの味噌を披露したり、良きパパぶりを語るなど、幸福な再婚を果たしたシングルマザーとしての地位を固めつつある。友情や愛情がほしいのにそれがかなわない人は、周囲に誠心誠意尽くすより、もえのように、ドライなまでの強さを先に持つ方が賢明な気がしてならない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2016/03/31 21:00
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