保育園は24時間営業ではないのに……入園希望者からの困った電話
時間外といえば、保育園の総合窓口は平日午前9時~午後5時で、土・日・祝日は電話に出ません。入園希望の人が土曜日に電話をしてきたのですが、コールバックするのもなんだし、メールで「先ほどお電話いただきましたが、土日祝はお休みとなっておりまして……」と返信したところ、「見学の際に説明がなかったし、ホームページに(総合窓口の)営業時間の記載がない」とのキレた返信がありました。あと、レスポンスが悪い的なニュアンスも(笑)。1日電話を取らなかっただけで、怖いです。しかも営業日じゃないし……。保育園の人はいつでも仕事をしていると思っているのかしら。土曜日は予約のみの預かりはしていますが、日・祝は完全にお休みです。
そのママは見学の際から違和感がありました。幼稚園や保育園の類いは一切通ってなく、習い事とお受験教室のみ。母子分離されていないからか、親子べったりな感じでした。入園したら完全にモンペになりそうなタイプだと思ったので、結局入園されなくてよかったです。私としても保育園の実績がほしくて、お受験する子を優先で入園させていたので、お受験予定のその子も書類を見た限りでは危うく入園させるところでした。痛い目に遭うところでした。未遂でよかったわあ。
■高級住宅街だからこそ成功できたビジネスモデル
森のナーサリー用の電話回線を増やしたり、無線LANにしたり、電気のアンペアを増やしたり、建具を直したり……年度末はやることばかりです。相変わらず「定員いっぱい」と書いてあるのに問い合わせもあります。4月・5月に出産を控えている人のみ、先行して30年度見学&申し込みを行っている状態なので、とりあえず30年度くらいまでは生きていけそうです。認可園がたくさんできても、「違うところに行かせたい」と思う親はいます。駒沢の森こども園はニッチな園で、高級住宅街の中にあるから成功しているのだと思います。
だから、同じビジネスモデルで、若い世帯の多く住む街では成功しません。私自身よくよくわかっているので、プロデュースは一部の区のみ受けています。エリア外の案件で、「大衆向きにお願いできますか?」と言われたこともありましたが、「でしたら、乙武(洋匡)さんに依頼した方が断然いいと思いますよ」と返しました。予算がないと、有名人のアクティビティは呼べないし、「地域の人が集まれる場所と一緒に作りたい」と言われても、防犯的に困るわ! と思うのが山の手発想じゃないですか。
角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では8歳の愛娘の子育てに奮闘中。