コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

小林麻耶の“ぶりっ子”に感じるルーティーン作業――好かれたい女が抱える深い闇

2016/02/25 21:00

 30代後半となった今でも、小林はぶりっ子を辞めず、共演者の遼河はるひによると、「男性スタッフが1人でも現れると態度ががらっと変わる」そうで、女性だけの場所ではごく普通であるらしい。ぶりっ子は女ウケが悪いのは、周知の事実。もし小林が真の八方美人なら、こういう時にぶりっ子を封印するだろうが、小林はそれをしない。それは、ぶりっ子した結果、男性がやに下がるリアクションを見ることで「この人に好かれた」という心の安定につながるからではないか。ぶりっ子は小林にとって、不安を避けるためのノルマでありルーティーン作業に思えるのだ。

 しかし、世の中に全ての人に好かれる人はいないし、好きという気持ちは移ろいやすいので、「100人いたら100人に好かれたい人」は、努力すればするほど、精神的に餓えて追い込まれていくことになる。「ブリカマぶるーす」で歌手デビューを果たした小林は、記念イベントに押し寄せたファンに対し、「私を応援してくれる人がいる」「私のファンだと公言するのは勇気がいること」と涙ながらに語ったというが、これまた「100人いたら100人に好かれないと気が済まない」ゆえに、ネガティブに陥っているように見えるし、若干自意識過剰である。小林に限らず、「芸能人の◯◯のファンだ」と公言する人がいたとしても、周囲の反応は「そうなんだ」で終わるはずだ。

 小林は一時、「結婚できないキャラ」で売っていた。たいてい、結婚できないキャラの女性が売りとするエピソードは、「ダメ男が好き」か「変わり者で他人と生活できない」のどちらかだが、小林の場合はほとんどが「出会ってすぐにプロポーズされたが、断った」というものである。小林いわく、その男性が「女子アナとしての自分に価値を感じているのがイヤだった」そうだが、「100人いたら100人に好かれないと気が済まない」説に則ると“結婚できない理由”がはっきりしてくる。結婚とは、全世界の男性から1人を選んで夫とし、後は“捨てる”ことだ。なので、「100人いたら100人に好かれたいタイプ」は、残りの99人に未練があるから結婚はできない。結婚願望の有無は個人の問題だが、「捨てられないオンナ」小林の抱える闇は、案外深いように思えてならない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2016/02/25 21:17
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