「ジャニー氏の全盛期は今」「後継者は必要ない」ジャニー&メリー喜多川姉弟の知られざる“素顔”
『ジャニーの伝言~嵐、SMAP、キスマイたちを育てたジャニーズ事務所社長の夢と言葉』
◎ジャニー氏の理想郷の完成は近い?
――今回の騒動で、ジャニー氏は一切表に出て発言しないことも話題になりました。
小菅 ジャニーさんがやっていることは、自分のための理想郷、自分の美的世界を完成させることであり、世間のゴタゴタなどは、おそらく気にしていないでしょう。ですから、今回のSMAP騒動にも関心がないと思います。むしろジャニーさんにとって12月、1月、2月は『ジャニーズ・ワールド』や『Endless SHOCK』などの舞台がある大事な時期ですから、「そんなときに余計な騒ぎを起こすな」と思っているのではないでしょうか。まして騒ぎを起こしているのは、自分が作り育ててきたSMAPなのですから、その思いは強いと思います。ジャニーさんは基本的に自分を「裏方」と言い、表に出ることを嫌う人で、今回も無関心を装っていますが、「何も言わない」というのは、むしろ怖いことですよ。
――ジャニー氏が事務所で軽視されているとか、勢力が弱まっているといったウワサを耳にすることもあります。実権を握っているのは女性たちで、ジャニー氏はスルーされてしまっているのではないかとも言われますが。
小菅 勢力が弱まるとか、衰えるとかいうのは、まったく違いますよ。むしろ今が、ジャニーさんにとって全盛期なのではないかと思います。
――Sexy Zoneの佐藤勝利、中島健人がジャニーズJr.80名と登場し、『ジャニーズ・ワールド』を再現してみせた『ミュージックステーション』(1月29日放送、テレビ朝日系)を見たとき、狭いステージでちびっ子Jr.から職人Jr.までがあふれんばかりに勢ぞろいしたさまに「これこそが、ジャニーさんの作りたかった世界なのか」と感じました。
小菅 確かに『ジャニーズ・ワールド』により、ジャニーさんの理想郷は完成に近づいているのだと思います。ジャニーさんのすごいところは、50年間の歴史において、ほとんど変わらないこと。そして、失礼ながら自分は昔、ジャニーさんの語る「理想郷」をほら話と思って聞いていたのですが、それが全部実現されていっていることです。
――ジャニー氏の世界は普遍的である一方で、そのときどきにジャニー氏の中の“流行”も投影されたり、それなのに意外とすぐに忘れてしまうところもあると思います。2020年の東京オリンピックに向けてJr.など40人で「2020」というグループを作るという構想も、早々に忘れられてますし……。
小菅 ジャニーさんの基本は昔からまったく変わらないけど、確かにその一方で、その時代を読み、流行を取り入れていますね。それで思い出すのが美空ひばりで、昔から変わらないものを守り続ける一方で、時代時代を巻き込み、時代のエッセンスを取り入れているんですよね。同じく、基本を守りつつ「変化」を取り入れるのも、ジャニーカラーの一部だと思います。
――『ジャニーズ・ワールド』によって、ジャニー氏の美的世界が完成に近づいているとおっしゃいましたが、完成したらおしまいになってしまうのではないかという不安もあります。
小菅 そうです。完成したらおしまいですよね。そして、ジャニーさんの美的世界は一代限り。ジュリーさんが引き継いで新しい方向性は出るでしょうが、それはどんな形なのか、私にはわかりません。
ジャニーさんが作る理想郷『ジャニーズ・ワールド』は、メリーさんですら一切手が出せない核となる存在。ジャニーさんは自分の世界で自分の美意識の頂点にいればいい人ですから、後継者を育ててこなかったし、育てる必要がなかったんです。それがジャニーズ事務所の独自性でもあり、美しさだと私は思います。どんなものも経年によって変色していくのに、ジャニーズという独特の世界だけは変色しないのですから。