『クレイジージャーニー』狂気の旅人・丸山ゴンザレス×佐藤健寿が語る、人気番組の裏話
■廃虚マニアは国境を超える
一方、佐藤さんの旅はヨーロッパの廃虚をめぐる「世界四大廃墟巡礼の旅」が収録されている。その廃虚とは、1942年にドイツ軍の侵入を防ぐために設置されたイギリスのテムズ川に浮かぶ廃虚「マンセル要塞」、ブルガリアを侵略したソ連によって81年に建造された巨大なモニュメント「共産党ホール」、廃虚マニア憧れの地、ベルギーの旧発電所内にある、SF的で芸術的な冷却塔「パワープラントIM」、そして、ウクライナの「チェルノブイリ」内部。佐藤さんによると、廃虚マニアは国境を超えるらしい。
「廃墟を訪れるのは基本的には不法侵入となります。ですから、たとえば海外の人が日本に来て、廃墟で撮影したいとなったら、日本の廃墟マニアの人に連絡してくるんですよ。ぼくもたまに聞かれるんですが、関西だったら、奈良ドリームランドという有名な廃虚があるんですけれど、それ以外で何かないかなど、台湾の女の子に聞かれたします。日本人よりも日本のことを良く知っていたりしますよ」(佐藤さん)
また、丸山さんも取材の進め方について明かした。
「フェイスブックとかでその街に住んでいる人を探して、手当たり次第連絡をつけたり、現地のレストランでこういう理由で来たんだけど、知っている人がいないかを聞いたりします。ブルース・リーのような偉い人を探すのは、比較的簡単ですね。この辺で一番偉い人は誰? と聞けば見つかりますから。こんな言い方は誤解があるかもしれないんですけど、途上国の場合、悪い人と偉い人は、ほぼほぼイコールなんです。だいたいそういうものです」
さらには、MCの松本人志、設楽統、小池栄子についてなど、話はどこまでも続き、盛り上がりすぎて30分以上も延長。ふたりでシベリアに行こう、という話まで出て、イベントは終了した。
■スケジュールを壊していく旅の楽しみ
その後、『サイゾーウーマン』単独で2人に直撃。佐藤さんに、印象に残る旅の写真を撮るための方法を聞くと、次のような答えが返ってきた。
「廃虚に関していえば、それだけで強い被写体なので、正面からおさえる。観光客のおばちゃんの視点が一番正しいんじゃないかと僕は思っていて、カメラマンがいくら撮っても、みんな同じになってしまう。カメラマンだと大体この画角に落ち着くよね、というものがあるんです。けれど、素人のおばちゃんは訳のわからない確度で撮る。うまく撮ろうとしないことですね。と言いながら、自分はおさえちゃいますけれど(笑)」
丸山さんには、いつもの旅を少し脱線して楽しむ方法を聞いてみた。
「見え透いた詐欺にのってみる。カバーできるぐらいの詐欺だったら、拒否しない。ぼったくられているとわかっていて、そこにのるぐらいゆったりした気持ちで付き合ってみる。女性はスケジュールを決めがちで、行く前には決めることは楽しい。でも、着いたらスケジュールを壊していくほうが楽しい。決めたことに沿うだけではなく、逸脱してみてください」
(上浦未来)