カルチャー
『職人男子 伝統に生きる僕たち』ブックレビュー
これぞ眼福の極み! 日本の伝統工芸を継ぐ、若きイケメン職人の世界をのぞき見できる『職人男子』
2016/01/27 15:00
「刀剣修復とは、次の世代にバトンを渡す仕事です。自分が『我』を出してしまうと、次の職人さんが困ってしまう。個性的な仕事をしたがる職人さんもいますが、僕はあくまでも、1000年以上受け継がれてきた伝統や技術を継承し、守っていくことに徹します」(刀剣職人の大塚寛信さん)
「江戸小紋は、江戸時代の最新流行ファッションでした。当時の最高峰の技術が用いられて、武士から町民まで、あらゆる人にもてはやされた。僕は伝統工芸だからこそ、新しいことにどんどん挑戦すべきだと思う」(江戸小紋職人の廣瀬雄一さん)
そんなふうに真剣に語られると、もはや妄想の恋に落ちる寸前。プロフィールやスケジュールをつぶさに見たところ、残念ながら、ほとんどの職人が既婚者のようで、軽い失恋気分を味わう。
竹藝家の谷口倫都さん
それはさておき、彼らがなぜ職人という道を選んだのかを考えてみる。食べていくためだけに働くならば、今の世の中、職人という職業は選択しないだろう。けれど、彼らは何百年も続いたこの伝統を途絶えさせてはいけないという強い思いを抱き、伝統の中の新しさとは何かを考え続け、日々腕を磨き、邁進している。この本では、そのことが伝わってくるからこそ、何度でもページをめくり、彼らを応援したくなる。
(上浦未来)
最終更新:2016/01/27 15:00