サイゾーウーマン芸能テレビドラマレビュー「大人」を演じられない俳優・二宮和也 芸能 イケメンドラマ特捜部【ジャニーズ&イケメン俳優】 嵐・二宮和也『坊っちゃん』が映した、「等身大の若者」ではなくなった俳優・二宮の課題 2016/01/13 17:00 嵐二宮和也ドラマレビュー 『坊っちゃん』(フジテレビ系)公式サイトより 年末年始にかけて、二宮和也の出演するドラマが2本放送された。1作は昨年の12月28日に放送された『赤めだか』(TBS系)、もう1作は1月3日に放送された『坊っちゃん』(フジテレビ系)。 『赤めだか』は落語家の立川談春のエッセイを元にドラマ化したもので、二宮は立川談志に弟子入りした若き日の談春を演じた。ドラマ版では師匠と弟子の関係がフォーカスされている。舞台が80年代末ということもあってか、ノスタルジックな青春ドラマとしてうまく仕上がっていた。 一方、『坊っちゃん』は言わずと知れた夏目漱石の有名小説をドラマ化したもので、二宮演じる「坊っちゃん」と呼ばれている血気盛んな若者が、中学教師として赴任した四国で、さまざまな騒動に巻き込まれていく姿を描く。『赤めだか』は80年代末、『坊っちゃん』は明治時代という過去の時代を舞台としており、二宮が演じるのは、どちらも血気盛んな青年という役まわりだった。 とはいえ、この2作における二宮の立ち位置は、少しだけ異なる。 『赤めだか』で、二宮が演じたのは高校3年で弟子入りしてから二つ目(一人前の落語家とみなされる階級)になるまでの時代だ。年齢でいうと高校卒業から大学卒業までの18~22歳くらいまでの期間だろう。 一方、『坊っちゃん』で二宮が演じるのは、20代前半くらいの若者だ。しかし、坊っちゃんの職業が教師であるため、弟子の立場だった『赤めだか』と違い、自分よりも子どもの中学生たちと向き合うことになる。『坊っちゃん』を見ていて印象的なのは、教頭の赤シャツ(及川光博)のような狡猾な大人ではなく、坊っちゃんの行動を影から監視している中学生たちの不気味さだ。 「風呂で泳いでいた」、「蕎麦を四杯食べた」といった黒板に書かれた文字は、生徒たちの側に具体的な名前を持った登場人物がいないためか、ネット上の匿名掲示板に書かれた悪意のある悪口のように見える。曲がったことが嫌いな若者が、狡猾な大人と対立する話として『坊っちゃん』は知られているが、実は子どもたちとも断絶しているのだと、本作を見てあらためて気づかされた。 そんな大人とも子どもとも断絶している坊っちゃんの姿は、現在の二宮が抱えている問題をそのまま映し出している。 12次のページ Amazon 『優しい時間 DVD-BOX』 関連記事 『死神くん』――キャラクタードラマで際立つ嵐・大野智の“人生に期待していない”強さ嵐・相葉雅紀、『ようこそ、わが家へ』で引き立つ嗜虐心をくすぐる“弱々しい優しさ”低迷続くジャニーズドラマの中、嵐・二宮和也に期待される仕事とは『お兄ちゃん、ガチャ』『問題のあるレストラン』ら、2015年ドラマベスト5を選出!関ジャニ∞・錦戸亮『サムライせんせい』、堅苦しい侍役でも滲み出る「暴力性」