「VERY」伝説の企画「妻だけED」メンバー再集結! 「妻は理解してる」という勘違いの罠
なんでも、子育てには段階によって、さまざまな“縛り”があり、何かを卒業することはすなわち、オシャレや行動の自由を手に入れる……ということのよう。例えば、「かっこいい洋服が着られるようになった」「お稽古に行けるようになった」「1人で映画に行けるようになった」「汚れを気にしない服を着られるようになった」「女に戻れた」など、ママたちが自由を手にしていく様子と、同時に子育ての大変さがひしひしと伝わってきました。
よく考えると、男性にはこういった“卒業”も、そして卒業することで得られる“自由の喜び”もないのかもしれません。どんなにアマニのようなバリキャリ妻にあこがれても、やはり今の日本では、「子育ては妻がメイン。仕事をしていても、夫に迷惑をかけないことが鉄則」。そんな実情が浮かび上がってきます。
「働くママのマイ・ルール」には、「ご主人の理解は十分に得られていると思いますか?」というアンケート結果が掲載されていたのですが、そこでも読者の夫に対する要望がせつせつとつづられていました。「自分のことは自分でして」「子どもの病気で休むのは自分ばかり」「もう少し家事全般を手伝って」「たまには送り迎えもやって」……「VERY」妻の感じている抑圧と、開放を求める気持ちが、「○○卒業で、オシャレの階段のぼります!」という特集に込められているのかなと思いました。
■妻の浮気を見誤る男たち
「VERY」を見ていると、夫婦共働きであったとしても、「男の仕事だけが本当の仕事である」という男性側の思い込みが、いろいろなところから透けてきます。「レスな夫たち、再結集!」には、夫の身勝手な本音がたくさん見られたので、記録しておきましょう。
このページでは、2012年7月号の「しのびよる『妻だけED』の真実!」の座談会に参加した男性メンバーが再集結しています。「離婚した」「なんとか年2回セックスした」など、さまざまな後日談が語られていますが、それ以上に気になったのが、夫側の妙な自信や勘違いです。
例えば彼らは、13年7月号の「私たちのセックスレス」特集の座談会で、参加者6人中4人の妻が浮気していたという事実を知っても、「うちのカミさんに限って」と信じようとしない。それどころか「昼間に、それも酒も飲まずに」浮気するのは生々しすぎる、「男の風俗やキャバクラ通いを責められない」と、妻の浮気を性欲のはけ口としか思いたがらない。こうした妻の本音を見誤っているところが、セックスレスに関係しているのではないか……とも感じました。
また、結婚15年目に妻から離婚を切り出されたものの、「忙しい自分のことを支えてくれているのはすべてわかったうえ」と思っていた男性に代表されるように、座談会参加者の男性たちに共通するのは、「妻はわかっているから伝える必要はない」というおごりです。
「そもそも(妻の気持ちを)ケアしなければならない関係というか感覚のほうがむしろ意味がわからない、水臭いと思ってしまう」「毎日花を買ったり、好きだと言ったり、態度で示したら伝わるのか?という思いもあります」「言葉や形が必要な時点で粋じゃないという気持ちがどこか、男にはありますからね」といった口々に発せられる言葉からは、「妻は自分のことをすべて理解しているのだから、もっとケアしてほしい」「働いてお金を渡していることが、妻に対するケアなのだから、それ以上のケアは求めないでほしい」という夫側のいびつな思い込みと身勝手さを感じてしまい、ぞっとしました。
そんな生々しい男の本音を、包み隠さずに文章にしてくれる……「VERY」のリアリストな一面を見た気がしました。
(芹沢芳子)