美容・健康
爆発的ヒットの裏側を検証

もうメイクだけでは「旬の顔」になれない! 2015年の美容業界は「健康との組み合わせ」がトレンド

2015/12/30 19:00
Photo by Frickr by Lisa L

 2015年の化粧品業界を振り返ると、成分や処方で突出した印象を残すような化粧品はあまりなく、美容と健康の概念が近づいた年だったというのが率直な感想だ。美容のブームとしては、水素や酵素ドリンク、スムージー、塩麹などの発酵食品など、内側からキレイになる商品が人気を集めた。そのような健康志向は化粧品メーカーにも影響し、資生堂のヘアケア商品「TSUBAKI」が今年2月リニューアルした際、「椿麹つけこみ美容」を商品コンセプトに取り入れるなど、発酵ブームを意識した商品展開が話題になった。また、今年は食品業界から美容と健康を切り口にした商品が次々と発売されたことも特徴的で、「健康」と「美容」の境がなくなり、「健康であり、美しくある」という包括的な願望が満たされるような商品がヒットした年になった。そのような背景を受けて、今年のトピックスを振り返ってみたい。

1)機能性表示食品の導入

 今年4月に制度がスタートした、「機能性表示食品」。事前に安全性や科学的根拠に関する情報を届け出れば、消費者庁からの個別の許可がなくとも、「体のどこにいいのか」「どう機能するのか」が商品に記載できる。この制度を利用し、美容に絡めた商品が次々と発売された。

■キリン「パーフェクトフリー」
難消化性デキストリンを配合し、“脂肪の吸収を抑え、糖の吸収を穏やかにする”と訴求

■雪印メグミルク「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト」シリーズ

ガセリ菌SP株により“内臓脂肪を減らす”と訴求

■アサヒフードアンドヘルスケア「プレミアリッチ パーフェクトアスタ ヒアルロン酸パウダー」
ヒアルロン酸Naを含み、“肌の潤いをサポート”と訴求

 “食べること・飲むことで内側からキレイになる”という機運が近年特に高まっている中で、メーカー側としてもパッケージに訴求ポイントを表示できるようになった効果は大きい。「同じものを口に入れるなら、体や美容によりよいものを選びたい」と思うのは当然の選択であり、この流れは今後も加速していくだろう。美容効果を訴求できるような商品に、今後も注目していきたい。

2)スーパーフードブーム

 今年は「スーパーフード」と呼ばれる、栄養価が高く、主に植物由来の食品に注目が集まった。タンパク質・鉄分・カルシウムを多く含む穀物「キヌア」、水を含むと10倍ほど膨らみ、ダイエットに重宝されるチアの種子「チアシード」、抗酸化作用のあるアントシアニンが豊富な「アサイー」、体内に蓄積された脂肪を使いながらエネルギーに転換するという中鎖脂肪酸を多く含んだ「ココナッツ」などが注目された。特に「ココナッツオイル」はダイエットのほか、ボディケアに使われるなど大人気。“食べてよし塗ってよし”は今年の象徴ともいえる。

 スーパーフードブームは、日本古来の栄養価の高い食品を見直すきっかけともなり、「納豆」「味噌」「甘酒」などが“ジャパニーズスーパーフード”として女性誌などで特集され、価値が再認識されるような温故知新現象が起きた。改めて、昔から食べていたものの素晴らしさを実感した現象だった。

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