カルチャー
オンナのセックス観はどう変わった?

エロメン、性器美容、春画――2010年代、オンナたちの“セックスカルチャー”5大トピック

2015/12/30 16:00

■セルフプレジャーグッズ「iroha」発売(2013年)
~男性目線のラブグッズに、女性がNOと意思表示~

 グロテスクな造形で光りながらグルグル回転する不気味な物体……国産バイブレーターの典型です。世界では、美しいフォルムかつ、女性の体への安全性を最優先に設計された高品質ラブグッズが主流だというのに、日本のそれはガラパゴス化するばかり。それというのも、国産ラブグッズは男性の興奮を喚起することを目的としているからです。女性の快感は二の次。そんな偏った常識を、和菓子のような愛らしいルックスの「iroha」がさらりと覆しました。

 女性の肌や粘膜に安全な素材を採用する、という常識すらほとんどなかった国産ラブグッズ市場に反旗を翻すかのように、上質のシリコン素材を用い、それでいながら、もちもちしたソフトな触り心地を実現。手に載せた瞬間ほっとするような質感は女性の心に添ったもの、というだけでなく、振動が細やかになりやさしく快感を引き出してくれます。さらに、静音設計や、爪が長い人でも押しやすいコントロールボタンなど、それまで「女性が潜在的に必要としていたけれど、国産グッズがどこも着目していなかった設計」が細部にまで行き届いているのです。

 発売された途端、サイトはアクセス増でサーバーダウン。メーカーの予想を3倍以上、上回る売上を記録したとのことで、各種女性誌でも大きく採り上げられました。ここまで話題になったのは、「こんなグッズなら使ってもいい、使ってみたい」という、女性たちからの明確な意思表示です。つまり、「ガラパゴスバイブなんてもう要らない!」ということ。後続となる国産ブランドはまだ登場していませんが、今後は女性の心をつかめるグッズしか生き残れないでしょう。そのうえ、グッズビギナーをターゲットとした「iroha」からさらに進化した、「iroha+」が12月に発売されたばかり。動物をモチーフとしたほっこり系のデザインながら振動は強化され、中級者へのステップアップを狙えるシリーズです。

■デリケートゾーンの衛生&美容熱、高まる(2014年頃)
~性器に自信を持つことは、自分に自信を持つこと~

 米国ドラマ『SEX and the CITY』ブームをきっかけに、2000年代半ば頃からアンダーヘアの処理が日本にも浸透しましたが、一度意識が向けば、蒸れやにおいなどの不快感も気になるもの。「不快なのは当たり前」と思い込み、正しいケアについての情報がなかった時代はもう終わりです。

 近年は「サマーズイブ」「ラクタシード」などデリケートゾーン専用ソープがドラッグストアに堂々と並ぶようになりました。その脇には、性器専用ウェットシートも。ボディソープで洗うと粘膜のバランスが崩れてヒリヒリするため、専用ソープがベストです。また、シートを常備すれば、蒸れやすい季節や生理中の不快感と無縁に。これらは快適感だけでなく、自分の性器に対する自信をもたらします。セックスに積極的になれる女性もいるでしょう。さらに、性器アンチエイジングを始めるサロンも登場しました。加齢とともに性器が痩せ、自信を喪失した女性たちのために時間を巻き戻し、いいセックスライフへの後押しをする施術です。

■江戸のセックスを描く春画、女性に好評!(2015年)
~良質な性表現を評価し、ポルノにはバッシングを~

 東京・永青文庫で開催された「春画展」は今年最もホットなカルチャーイベントでした。のべ133点がそろった同展には多数の女性客が訪れたと報じられましたが、おそらく2010年以前であればこの現象は見られなかったでしょう。生々しすぎるほどのセックス、および性器の表現を含む作品に女性たちが臆せず対峙できたのは、エロメン作品などのアダルトコンテンツから無修正動画まで、スマホを通してアクセスする習慣が女性に根付いたからです。これに伴い、セックスを描く=全てがポルノグラフィではない、すなわち良質なそれと、女性をただ消費したり尊厳を傷つけたりするだけのものとの間に明確な違いがある、ということを理解する女性も増えています。今年は海女モチーフの萌えキャラや、おっぱい募金など、これまで見過ごされてきたポルノに女性からの大バッシングが起こりましたが、これも女性のそうした意識なくしては起こらなかったに違いありません。

 2016年、女性たちがますます自分なりのセックス観を持ち、パートナーがいてもいなくてもハッピーなセックスライフを送れる社会になりますように!
(三浦ゆえ)

最終更新:2016/01/05 19:41
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