上川隆也『エンジェル・ハート』全話平均9.3%で終了は、“成功”か“失敗”か?
上川隆也が主演した日本テレビ系の日曜ドラマ『エンジェル・ハート』(日曜午後10時30分~)が、10月期の連ドラの中で先駆けて6日に最終回(第9話)を迎え、視聴率は7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。
初回は12.5%と好発進し、第2話も10.0%と2ケタを維持したものの、第3話で8.1%と1ケタ台に転落。第4話では10.3%と数字を戻したが、第5話で8.6%と再び2ケタを割ると、以降、第6話7.1%、第7話9.0%、第8話8.5%と1ケタ台が続き、尻すぼみの格好で最終回を終えた。全話平均視聴率は9.3%で、惜しくも2ケタには届かず。
今年4月期にスタートした同枠ドラマは、4月期のEXILE・TAKAHIRO主演『ワイルド・ヒーローズ』が平均8.8%、7月期の窪田正孝主演『デスノート』が平均11.6%だった。午後10時30分~11時25分という時間帯を考慮すれば、9%台は、良くはないが、決して悪いとは言い切れない。
『エンジェル・ハート』は1985~91年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された人気漫画『シティーハンター』の世界観を基に、作者の北条司氏が新たなパラレルワールドとして描いた漫画で、「週刊コミックパンチ」(新潮社=2001~10年)、「月刊コミックゼノン」(徳間書店=10年)で連載され、05年10月から06年9月まで日本テレビ系でアニメ化もされたが、実写化は今回が初めてだった。
そしてなにより、数字以上に評価されたのが、ドラマの内容。『ワイルド・ヒーローズ』は「EXILEメンバーの演技が学芸会レベル」などと酷評され、『デスノート』は「原作、映画版よりつまらない」といった批判も少なくなかった。
一方、『エンジェル・ハート』は主人公・冴羽リョウを演じた上川が役作りに真剣に取り込んだ結果、「原作に近いリョウを演じていた」と評価された。ドラマ自体、原作に近かったため、「原作と違う部分はあったが、再現率も高く、これはこれで楽しめた」「上川の演技力はさすがだった。脇を固めたほかの役者も、役にはまっていた」「上川が冴羽リョウで良かった」「原作のツボは押さえてあったし、キャストも良かった」といった具合で評価する声は多かった。
視聴率が徐々に下がっていったのは、「原作自体を読んでいない視聴者が脱落していったから」と見て取れそうだが、漫画の実写ドラマ化は、全てを完全に再現するわけにもいかない。その意味では、『エンジェル・ハート』は原作のファンにもおおむね受け入れられ、視聴率的にも、それほど低くなかった点は評価すべきではないだろうか。視聴率2ケタには乗せられなかったが、漫画の実写ドラマとしては、健闘した方といってもいいのかもしれない。
(森田英雄)