カルチャー
血のつながらない子どもを育てるという選択【里親編2】
不妊治療6年間600万円の末たどり着いた「里親」という選択 漫画家・古泉智浩さん
2015/12/16 17:00
――研修の後、すぐに里子を引き受けられたのでしょうか?
古泉 研修を終えると自宅調査があり、児童相談所の職員の方が自宅の様子を見に来たり、家の資産や所得などについての書類を提出しました。それらを経て認定を待ちました。いま1歳○カ月になる里子を預かっていますが、ご両親が都合でNICU(新生児集中治療管理室)にいるその子を引き取れなくなり、調査からすぐ我が家に委託の連絡が来ました。
――実子として養子に迎える特別養子縁組ではなく、里親制度を希望されたのはなぜですか?
古泉 スピード感ですね。本当に一日でも早く子どもを育てたかったんです。養子縁組里親を選ぶと、厳しい条件を課せられることになるので、時間がかかってしまうのではないかと思いました。里親はいずれ返さなくてはいけないという不安が常にあります。すぐに預かることができるなら、養子縁組里親にすると思います。
――そこまで急いで子どもが欲しかった理由とは?
古泉 僕はこれまで自分の好き勝手ばかりやって生きてきたのですが、中年期を迎えてそうしていると、なんだか虚しくて死にたくなります。自分が誰の役にも立っていないみたいな。それがなぜ子どもが欲しいことと関係するかというと、書籍に詳しく書いていますが、僕には今の妻ではなく、元婚約者の女性との間に子どもがいるんです。もう中学生になる女の子なのですが、これまで3回しか会ったことがありません。事情があり一緒には暮らせないのですが、彼女に会ったときの感覚が忘れられません。「誰かを守りたい」「愛したい」という気持ちが行き場をなくして、自分にのしかかってきたんだと思います。