読者年齢が上がっている「CLASSY.」が、「30すぎて若さにこだわるな」と説法企画を展開
この着回し企画、最終日にマイト・インティライミと仕事できる君が鉢合わせ、まさかの「To Be Continued…?」で終わります。夢を追う少年のような男を取るか、仕事ができる堅実男を取るか……このベタofベタな選択に三十路ぶりっ子女はどういう判断を下すのでしょうか。そもそも「CLASSY.」がこの続きを製作する気はあるのか。「どっちも選べない……そんなとき、街で偶然初恋の男性に再会して……」といった泥沼展開を希望します!
■本当に待っている言葉は「まだまだ若いしキレイだよ」
夢物語にもほどがある妄想着回し企画はさておき、このストーリーの主人公が「30歳」であることに注目しましょう。今「CLASSY.」は30オーバーの読者を見据えた企画がめじろ押しなのです。今号から始まった新連載「30代がくれたもの」は、人生の先輩に30代とはどんな時間だったのかを振り返ってもらうもの。
初回のゲストは華原朋美。輝かしい20代から、まさに落ちるような30代へ……華原の体験は壮絶すぎて参考にはしづらいですが、「人生を懸けて恋をしても、後で考えるとバカみたいって思うことがほとんどなんですよ」「心を病んだせいで、どれだけお金を使ったか」「信用はなくすのは早いけど、取り戻すには時間がかかりますよね」「貯金はしたほうがいいですね、絶対! お金は本当に大切です」などリアルな金言がいっぱい。いうなれば女性誌版『しくじり先生』(テレビ朝日系)といったところか。
朋ちゃんほどではなくても、誰もが多少はちやほやされた20代をすぎ、30代で軽いショックを覚えるのは当然のことなのかもしれません。「30すぎて『若さ』にこだわるの、やめませんか?」は、そんな女性へのアドバイス集。「若いコを見てこんなこと考えていませんか…?」という問いに、「もう若くないから男の人から相手にされないと思う」「実年齢より若く見られたくて頑張ってしまう」「会社でも若いコはちやほやされて、私は煙たがられている気がする」などの生々しい意見が寄せられています。それに対して専門家たちからは、「ネガティブ思考が原因」「自己肯定感を持て」「遺伝子レベルで男は20歳前後の女を求めるもの。その事実から逃げるな」など、まぁそれができたら苦労はせんわなというご意見が並びます。
そして「どうすれば若さにこだわらず生きていけますか?」という質問に答えるのは、『四十路越え!』(ワニブックス)の著者・湯山玲子氏。「30代はトライ&エラーを繰り返して、内面を磨くようにしなくっちゃ」と、年齢に怯えて外の世界に出ようとしない30代女子たちに厳しい意見を述べていました。
なまじっか、さまざまな“可能性”が残されているから、焦る気持ちも強くなる30代。身もふたもない話ですが、少なくともここに出てくるような特殊な技能を持つ専門家・文化人の方たちには、彼女たちの本当の気持ちは理解しがたいのではないでしょうか。湯山氏のいう「内面がオモロイ女」なんてそう簡単になれるものじゃありませんし、だからこそ内面がオモロイ少数の女たちがもてはやされるわけで。若さという武器を奪われて、ネガティブ思考になるのも、自己肯定感を持てないのも、至極真っ当のような気がします。それは、若さという武器だけで30代に勝ってると思っていた、過去の自分へのしっぺ返しなのです。「CLASSY.」にしかできない30代女性へのフォローとは、「若さにこだわるな」なんていうストレートなお説教ではなく、若さへの絶望を知らせるショック療法にあるのかもしれませんよ。
(西澤千央)