コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

華原朋美、暴露トークに感じた“見下し”――あの頃を忘れられない歌姫の物悲しさ

2015/11/12 21:00
『ALL TIME SINGLES BEST』/Universal Music =music=

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「あっちはノンピュアですから」華原朋美
『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』(日本テレビ系、11月8日放送)

 バラエティ番組における“いい暴露”とは、内容が衝撃的であることと、かつ相手に迷惑をかけないことではないだろうか。例えば、元光GENJIの諸星和己は、いろいろなバラエティ番組で「おニャン子クラブの20~30番台は“かーくんゾーン”と言われていた(ほとんど手を出したという意味)」と繰り返し発言しているが、この表現は、視聴者にインパクトを与えるものの、実際に誰に手を出したかは臆測の域を出ないという気遣いが含まれている。

 その点、中途半端なのが華原朋美の“暴露”である。20年近く前に別れた音楽プロデューサー・小室哲哉について小出しに“暴露”を繰り返しているが、ネタが中途半端な上に、なんとも物悲しい。

 例えば、8日放送の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』(日本テレビ系)で華原は、「小室さんは浜田さんが大好きで、H jungle with tのミュージックビデオ撮影を、遠足に行く子どものように楽しみにしていた」と明かしていたが、これは“暴露”ではなく、“秘話”である。“暴露”と“秘話”の違いは、前者が、性癖など当事者が明るみにされたくないことをバラすことで、後者はただ一般的に知られていない話を指す。有名人男性が亡くなると、その妻や娘が本を出版することがあるが、例えば、家族が出す“いい話”が“秘話”本で、元恋人や愛人が出す“恥ずかしい”話が“暴露”本である。

 なぜこのような“すみわけ”がなされるかというと、世間一般的に夫と妻は“同等”だからである。結婚するということは、夫の収入や社会的地位を共有する、つまり男を“自分のものにする”ことなのだ。それに対し、元恋人や愛人は2人の間にどんなに愛があろうと、権利的な観点で言うと“他人”である。よって、唯一権利があるとしたら、それは秘密の“暴露”しかない。“暴露”という品のない行為は、“捨てられた女の未練”の名の下に、みっともなさが相殺されるのだ。「小室哲哉が浜田雅功を好き」という発言は、明らかに“いい話”、つまり“秘話”だが、これを語る権利があるのは、小室の妻であり、華原ではない。華原は小室に対して、もはや自分がこういった権利のないことを、わかっていないのではないだろうか。

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