ビジネス的には痛手でも、保育園経営者の私が幼稚園受験を提案する理由
今年も無事にハロウィンが終わり、ほっとしています。保育園も世の中と同じで、クリスマス会よりハロウィンの方が盛り上がっている気がします。私のコス(コスプレ)も、去年より本格的なものとなり、今年はハリー・ポッターでした(笑)。2月ぐらいから準備をしていましたね。終わった瞬間、「来年は何を着よう?」と本気で考えます。そして、このハリー・ポッターは、園のストック衣装として保管します。流行に左右されないキャラなので、まだ経済的かもしれません。
去年、女の子たちのコスは“アナ雪”率が高かったのですが、今年着ている子は1人もいません。みんなとてもかわいいのですが、ハロウィンで異常に盛り上がる東京で子育てをするのはお金が掛かりますね……。私が勝手に思っている今年のナンバー1は、「ポリス」に仮装した男の子です。どこで購入したかを聞くと「コストコ」とのこと。通販、PLAZA派が多い中、お友達との被りがなかったので、使えると思いました。
そして、今年は毎年お手伝いしてくださる保護者の方(兄弟で在籍)に加えて、別の保護者の方からも「お手伝いをしたい」とお声を掛けていただきました。本当にうれしいです! しかも、お二方とも仮装までしていただき、お菓子を購入して配って下さいました。大人が1人で仮装して子どもたちを待つのは、とても恥ずかしかったと想像します。駒沢の森こども園を盛り上げたいと思ってくださる保護者がいるのは、心強いですし、私たちの励みにもなります。期待に応えたいですよ。
■あえて幼稚園受験をすすめることも
この原稿を書いている時は、まだお受験の結果が神奈川県しか出ていないので、ドキドキです。ひとまず桐蔭学園小学部に合格が出ています。園児、娘の学友、提携のアンテナ・プレスクール(お受験教室)の生徒と、たくさんの子どもと接する機会が多いせいか、子の個性や特性がわかってきました。そのこともあり、今年の4月に、うちの園に通っている子のママに「○○くんは○○幼稚園(大学まで一貫)が向いているので、騙されたと思って説明会に行ってください」とお節介覚悟でお話ししました。お受験をあんまり考えていないご家庭でしたが、子どもの持ち味を伸ばす学校に行かないと、この子はダメになると思ったのです。提案したのはお母さんが想像もしない学校でしたし、小学校受験では、ストレスと感じるタイプの子なので、幼稚園の時に入った方がいいとアドバイスしました。
日ごろから、小学校受験フェアや説明会に行っていますし、動向もチェックしています。ビジネスだけを考えるなら、幼稚園受験をすすめないで、このままうちの園にいてもらった方がいいに決まっています。でも、子どもには(大人も同様)向き不向きがあって、小学校受験には向かない子もいるし、合う学校・合わない学校があります。もちろん家庭の考え方もあるかと思います(家庭で考えのある方に対しては、提案はしていません)。結果、提案した学校の説明会に行って下さって、保護者の方にとても気に入っていただけて、ご縁があって入園されることになりました。お節介と思いつつも、感じたことをお話ししてよかったなと思いました。
通常の認可外保育園は、認可に転園するので園児が減り、幼稚園に行くので園児が減り、経営が安定していません。駒沢の森こども園は、わざわざ認可や認証から転園してくださる方、妊娠中から申し込む方がいてくれるので、本来の力が発揮できることに感謝しています。その子自身に一番合っていること、ステップアップできる方法がアドバイスができればうれしいです。
この連載で何度も書いていますが、子どもは遊ぶことが仕事です。お受験をさせるなら、子どもに負担の掛からないやり方で行うのが大前提です。家では家族での時間が取れるように、園でペーパーを行ったり、絵画、体操、行動観察でいい意味で目立つように指導しています。
かといって某お受験教室に併設する保育園のようなやり方では、親目線で「やり過ぎ」だと感じてしまいます。保育園では預かり時間が長いので、子どもがほっとする場所としても機能しないと、子どもはパンクします。就学までに必要な体力、常識、知識、学力(最低でも10までの概念、読み書き)、協調性はもちろん、お受験となれば親の希望、合否が加わります。全て叶えた上で、「保育園に行きたい」と言われないとダメなのです。まだまだ課題がありますが、頑張るしかないのです!……なんてポジティブなことを言いつつ、私は保育園を始めるまで、夜行性、サブカル、万人受けしない人だったことを、たまに思い出して浸ってまーす♪
角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では7歳の愛娘の子育てに奮闘中。