桝太一アナ、視聴者からの好感度をもたらす「運動音痴」「モテない」「恐妻家」アピール
同番組で披露された、ソフトボール投げが女子より飛ばなかったという運動音痴アピール、中高時代、彼女はおろか女友達もいなかったという非モテエピソードがそれにあたる。「シャツはイン、ポシェットつけちゃって」という発言も、大学デビューをし、髪を金色に染めたものの、ファッションセンスが追いつかなかったことを自虐的に表現したものである。善良な視聴者は親近感を得るだろうが、桝アナのこれらのエピソードが生きるのは、彼が東大卒という立派な学歴を持っているからである。
この番組では触れられなかったが、桝アナは恐妻家としても知られる。夫人は桝アナの仕事へのダメ出しはもちろん、専業主婦であるにもかかわらず、桝アナに皿を洗わせて「ありがとう」の一言もないそうだ。「週刊朝日」(朝日新聞出版)において、枡アナと対談した林真理子は、専業主婦である夫人の横暴ぶりに驚いたが、桝アナは「今の時代、男が家事を手伝うのは当たり前」と優等生な答えを返した。
“恐妻家”を自称する男性は、自分の欠点には触れないので、なぜ夫人が恐妻と化したか、また本当に恐妻家なのかは不明だが(水卜アナによると、桝アナは一言多いタイプだそうで、奥方を怒らせている可能性もあり)、男性が人に言いたがらない“尻にしかれるダメ夫”エピソードをあえて披露することで、男性視聴者に「あいつも大変なんだな」と思わせて嫉妬をかわし、また世の主婦層には「イケメンで、お金も稼いで、奥さんに高圧的でなく家事を手伝うなんてエラい」と好感を抱かせるだろう。
桝アナは麻布中高時代生物部で、大学院時代はアサリの研究をしていたそうである。生物と言えば「進化論」で有名なダーウィンは、「最も強いものが生き残るのではない、最も変化に敏感なものが生き残るのだ」という考えを示したという。“ダメ偽装”ができる男性アナウンサーは、今のところ現れていない。変化に敏感な桝アナの時代は、今後も続くことだろう。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
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