カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」11月号

これぞ「CLASSY.」! 着回しコーデ&女子会企画に漂う、「いつだって私が主人公」感

2015/10/10 19:00

■新橋という地への不可解なほどの信頼はどこから?

 芥川賞を受賞したピース又吉直樹と担当編集女性を見て、「……次の着回しシチュエーションはコレだ!」となったのでありましょうが、出版業に関わる人間なら「こんな胸キュンあらへんで~」とわかってはいるものの、夢がないから夢みたい、そんな気持ちはなんとなくわかる気がします。

 「夢がないから夢みたい」といえば、こちらのページもなかなか。「新・女子会の聖地は『新橋⇔有楽町』間にあり」。リードによると新橋・有楽町が「昔の“オヤジの聖地”という印象はどこへやら、今や素敵女子やイケメンサラリーマンが集う美食エリアへと進化を遂げている」そうなのです。知らんかった~。

 「美味しいもの大好き!の仲良し3人組」が「新橋集合で女子会をすると聞き、密着しちゃいました」という体でレポートは進みます。まずは新橋駅烏森口そばのオシャレなバルで女子会スタート。そこからガード下に移動し、赤提灯系大衆酒場へ。「初めて来ましたが、何度も来ているかのような居心地の良さですね! 少し強面だけど、とっても優しい大将も素敵♪」と女子たちご満悦の様子。そしてここからが問題です。「席間が近いこともあり、その日のおすすめメニューを客同士で渡し合うこともしばしば。この日も、隣のテーブルで飲んでいたイケメン3人組と、自然と会話が弾みます」。こんな偶然の出会い、『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)の舞の海以外あり得なくないですか……? そしてすっかり意気投合して6人で3軒目。LINEを交換し次回の約束もバッチリ。「仕事帰りのきちんとしたサラリーマンが多いので、新宿や渋谷など他の繁華街に比べて、居合わせる人にそこまで警戒心が要らないです」とまたまたご満悦。「女子会から一転し、新たな出会いの場となった夜」とまとめられていました。

 飲み屋における女子問題というのは非常に厄介で、しゃべってばかりで飲まない、飲まないのに長居するなど煙たがられる一方で“女の子がいっぱいいれば男もやってくる”と飛び道具的に扱われることも多いのが現実。女だって誰にも邪魔されず飲みたい夜もありましょうや。大衆酒場で浮いてしまう女の己を嘆く夜もありましょうや。しかしそんな余計なことは微塵も考えず、“大衆酒場とか、逆にアリだよね~”“おいしいご飯とイケメンと両方味わえて最高~”と浮かれるその勘違い力こそ、かつての「CLASSY.」を支えていた魂とも言えます。空気を読まない、戒めない。いつでも自分こそが主人公。久々にそんな「CLASSY.」の振り切った感じを堪能させていただきました。
(西澤千央)

最終更新:2015/10/10 19:00
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