これぞ「CLASSY.」! 着回しコーデ&女子会企画に漂う、「いつだって私が主人公」感
前号では地雷感漂う「サバサバ」「姉御肌」路線を打ち出したものの、“大人の余裕が香る女”という理想像を前にして右往左往してる「CLASSY.」(光文社)。そこに突如担ぎ出されたのが、モデルの中村アンです。なぜかこのところの「CLASSY.」(光文社)で異常に持ち上げられている中村。今号でも「中村アンの秋はキャメルから始まる」で、「老ける・コンサバ・地味のイメージをくつがえす着こなし」なるものを紹介しています。「アンちゃんのキャメルがオシャレな理由」として、「カジュアルアイテムで上手に着崩すから老けない!」「カッコよく着こなすからコンサバじゃない!」「ほどよいトレンド感があるから地味にならない!」が挙げられていますが、この上なくざっくりしすぎていて正直どうオシャレなのかよくわからない……。ただこの「老ける」「コンサバ」「地味」というのが「CLASSY.」読者にとっての死のフレーズであることは理解しました。そしていつにもまして気合の入った中村アンのボサボサ髪。ヘアメイクさんも着地点を見失ったのか、爆発コントのいかりや長介風だったり、大相撲を取りきり髷が乱れた力士のようだったり、とにかくやりすぎです。「CLASSY.」読者が“大人の余裕=ボンバーヘッド”と勘違いしないことを切に願います。
<トピックス>
◎中村アンの秋はキャメルから始まる
◎デイリーブランドのニット&パンツで10月の着回しDiary
◎新・女子会の聖地は「新橋⇔有楽町」間にあり
■「先生」じゃなく「センセイ」表記に漂う若干の小馬鹿感
今号の特集は「まだまだ続きます! 秋のスニーカー人気」ですが、特集以上に目立っていたのが、おなじみの着回し企画です。「CLASSY.」のファッションがコンサバ→カジュアルと変わっていったように、着回し企画の登場人物像も「仕事より恋に夢中OL」から、「恋より仕事を頑張るOL」へと変化。今回の主人公は「護国寺書房の文芸編集部に勤務する29歳。神楽坂在住。好きな作家は谷崎潤一郎と泉鏡花。好物はあんみつ、おでんという和物好き女子」。いつか自分の担当作家に芥川賞を受賞させるのが夢という、野心家な一面も持ち合わせています。そんな女性が、かつて“文壇の貴公子”ともてはやされていたものの、現在は鳴かず飛ばずで私生活も荒れ気味な作家の担当になったところから着回しストーリーがスタート。着流しで髪は中村アンなみにボサボサ、咥えタバコでうつろな表情という、絵に描いたような戦前文豪スタイルの「センセイ」と、「UNIQLO・ZARA・GAP・PLST・無印良品の名品をフル活用」する編集女子。芸術と商業主義の熱いぶつかり合い……。
やる気のないセンセイのためにお気に入りの原稿用紙を買いに走ったり、時には資料としてはやりのマンガやDVDを差し入れて「純文学を馬鹿にしているのですか!?」と怒られたり、怒られたので「切腹最中」を持参して謝ったり、秋の京都へ取材旅行に誘ったり、ベタなドタバタを繰り返しながら、ようやくセンセイもその気になって久々の執筆に取り掛かります。それを読んだ編集女子「もしやこの登場人物のモデルは……(私)?」。そして「センセイと次回作の成功を祈願しに赤城神社へ。ドキドキ胸が高鳴ります。…アレ、この気持ち(ハート)」。「アレ」じゃねぇわ!! 以前、時代遅れの英文学研究者を自分好みのカジュアル男子に変えてムフフとする主人公が登場していましたが、今回も自分の力でダメ男を立ち直らせたい、裏方うっとり系女子でした。“主人公のモデルは私”というすこぶるポジティブな姿勢、センセイはなにも言ってないのに「仕事と恋(?)も、明るい兆しあり」とか勝手に決め込む図々しさ……空気を読み、自分を戒めたがる昨今、こういう人こそ真の勝ち組なのです。どうぞお幸せに!