プリクラ誕生20周年! 女子高生の「なりたい自分になる」は、どう実現されてきたのか?
ふんわりかわいい“お砂糖系”の雰囲気で撮影できる「Sugar femme(シュガー ファム)」(14年)
■プリは女の子の“コミュニケーションツール”
フリューでは、新しい機種を年3回、既存の機種のバージョンアップを年6回リリースしている。企画から完成までは約1年かかるという。
「1年後のトレンドを予測して企画しています。なので、カラコンやつけまがはやったから目ヂカラに着目したわけでも、黒髪・清楚なアイドルブームが来たからナチュラルを提案したわけでもありません。『こういう機種が、次にユーザーに受け入れられるのではないか』という私たちの予測と、女の子のトレンドがリンクしたのだと考えています。そのためには、リサーチは欠かせません。商品の完成まで何度も、女子高生たちと直接話す場を設けています。ただし、女の子たちに聞き取りをしても、既存の機種への改善要望は出てきますが、新しい提案までは出てこない。だからこそ接する時間を多くとって、彼女たちがいま何を考えているのか、自分の感覚としてわかるようにした上で、企画を考えるという形で開発しています」
新しい機種の試作段階では、女の子がネガティブな意見を言うことも少なくない。例えば、顔を盛ることが重視されていた時期に、全身コーディネートを残すことを提案した09年の「Lumi(ルミ)」、目を大きくすることが当たり前の時期にナチュラルを提案した前述の「LADY BY TOKYO」は、今までの流れとは違うため、試作段階では拒否反応があったという。その状況下では、社内の説得も大変だ。「それでも、『絶対に女の子は喜んでくれる』と思って作りました」と稲垣さんは語る。
プリは、友達同士で交換するコミュニケーションツールとしての役割も果たしている。
「それは過去も今も変わりません。プリ帳に貼られたプリの数は、現在でいうTwitterのフォロワー数、Facebookの友達と似ています。プリ機がTwitterやFacebookと違う点は、その場でシールが出てくることで、その場でも、一緒に撮影したメンバーの中にコミュニケーションが生まれること。そこが強みでもあります。根本的に女の子は、デコったり、加工したり、自己表現したり、記録したりすることが好き。プリ機が誕生して20年経ちますが、仕上がりに対する加工技術は進化しても“女の子が好きな要素がたくさん詰まっているものである”というその根本は変わっていません。また、『プリを撮るときに、最も楽しいのはどの瞬間ですか』というアンケート調査で、一番多かった回答は『撮影しているとき』でした。日常とは違う特別な空間で、友達とポーズを取って撮影するのは、小さなテーマパークのような楽しさがあり、そこもプリ機が文化として日本に根付いた理由なのではないかと思います」
※2014年夏 フリュー調べ
(後編につづく)