「体のラインが出る服は微妙」スーパーに行く際のファッションまで指南しだした「VERY」
■オオゼキにファッションコードが……?
今月号の特集は「スーパーMARKETで浮かない、秋のオシャレ」です。「VERY」には、「みんな違って、みんな、イイね」「頑張らないVERY」といった、自分らしさを肯定する特集を組むときと、「でも、そうはいっても浮きたくはない」「みんな同じでいたい」といった読者の気持ちを反映した特集を組むときがあり、その間を行ったり来たりしているように思えます。今月号は、まさに後者バージョンの特集でしょう。
中身を読んでみると、「オオゼキ」「芝浦ピーコック」「グランツリーマルシェ」といったスーパーのタイプによって、着ていくべき服が違うとのこと。スーパーによってT.P.Oが違うそうなのです。
「そんなのどうでもいいじゃん……」とは、同じ女性として言いたくないものです。だって、服装が人間関係に影響を及ぼし、一歩間違えば命取りになることだってありますから。しかし、「スーパーにはNGのアイテムがあるの?」という座談会を読んでいると、「Tシャツといえば、胸元が大きく開いてる人は気づいてないのかなと」「体のラインが出る服は、スーパーだと微妙かも」「つば広帽子もちょっと大げさな感じがします」などという意見が。これらの意見は、自分が浮かないようにするための目線によるものですが、そこまで人のことを気にしないでいいのでは? とも感じました。
今までは、幼稚園の送り迎えや学校行事、会社に行くときに“浮かない”ファッションがテーマになっていましたが、その人目を気にする範囲がより広くなった印象です。「VERY」ママに逃げ場なし、ただ生活するにもちょっと窮屈すぎないか……と心配になってしまいました。
■小姑化する「VERY」
その一方で、「子育てしながら『いい母モード』出来る服」と銘打たれた、広告と兼ねたページには、「スーパーMARKETで浮かない秋のオシャレ」のような窮屈さは感じませんでした。どこが違うのかというと、同企画は、一見「いい母に見られたい」という人からの評価を目的にしたファッションが紹介されているように見えて、実は、“動きやすい”アイテムがまとめられているところ。つまり、疲れない=自分自身が「いい母のモード」でいられる服が選ばれているのです。その意図がちゃんとわかる記事だからこそ、窮屈さを感じなかったのではないかと思います。
最近の「VERY」は、「人にどう見られるかを気にする」モードから、ちょっとずつ変化しているように思っていました。「人からは、『そこそこちゃんとしてる人』と見られている」という点をクリアーした上で、「洗いやすい」「動きやすい」といった、それぞれの心地良さに焦点が当てられることも多くなっていました。「いい母モードになれる」というのも、そういった心地良さの1つ。それはファッションを楽しむ上では当たり前の楽しみだと思います。
しかし、今月号のように、ちょっと近所のスーパーにお出かけするときですら、人目を気にしないといけないのは……。「VERY」読者は、そこまで人の目を気にしているのでしょうか? もし「気にしていない」ならば、「VERY」は仮想敵を作りすぎだし、もし「気にしている」としても、「VERY」がそんな小姑モードに加担する必要はないと思ってしまいました。
(芹沢芳子)