仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

加藤綾子アナは“庶民プレイ”が下手くそ!? 視聴者からの人気が急落した理由

2015/09/24 21:00

 具体例を挙げてみよう。現在、加藤アナは『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)において、明石家さんまのアシスタントを務めている。9月16日放送回では、タレントのヒロミが温製と冷製のパスタを2種類作り、出演者にふるまう企画が放送されたが、その際、さんまが「昨日、我々も温製と冷製パスタを食べたばっかりだけどな。なぁ、加藤」と加藤アナに同意を求め、それを受けた加藤アナは、「おいしかったです」と述べた。この回に限らず、さんまはことあるごとに、加藤アナと食事に行ったことを話し、加藤アナも毎回素直に謝意を表すが、これが“庶民プレイ下手”の最たるものなのである。

 大物芸能人と局アナは、同じ仕事をしているわけだから、食事に行くこともあるだろう。しかし、だからといって、それをそのまま公にするのは、NGなのである。なぜなら、庶民は大物芸能人とは食事に行かないものだし、大物芸能人においしいパスタをごちそうになる図とは、“ご寵愛を受けるカトパン”を女性視聴者に連想させるからである。

 会社員は仕事の出来不出来によって評価されるのが建前だが、役員や管理職に男性が多い場合、それとは別に“お気に入り枠”の女性が存在する。大抵若い女性や美しい女性がそこに該当し、彼女たちは豪華な食事に連れて行かれたり、仕事上の便宜を図ってもらったりする。彼女たちが“お気に入り枠”に入りたかったかどうかは別として、1つ確かなことは、「私はお気に入り枠に入っています」と認めているように思われる言動を取ると、お気に入り枠に彼女を入れた側(男性)ではなく、入れられた側(女性)が「調子に乗ってる」と嫌われるのである。

 それなら加藤アナは、視聴者から嫌われないために、どう答えるべきだったのかといえば、「〇〇さんの送別会でした」「××さんとご一緒しました(××さんは女性が好ましい)」など、2人きりではなく、会社員として正当な理由があっての会合で、プライベートではないことを強調することである。

 かつて、元TBSの田中みな実アナが同番組に出演した際、マツコ・デラックスは「加藤は(田中みたいに)ガツガツしてない」と褒めるニュアンスを込めて述べたが、野心なしにわたっていけるほど女子アナの世界は甘くないだろう。


 大物芸能人や、会社の上司など権力者に影でたっぷり愛され(でないと番組に出られない)、
表ではそれをおくびにも出さず、一般人の男性視聴者、つまり非権力者に従順そうな印象を与え、いい思いはこっそりと味わって女性視聴者の嫉妬を避ける。愛される女子アナに必要なのは、相手によって態度をうまく使い分ける“狡猾さ”なのではないだろうか。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2015/09/24 21:00
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