「女は浮気されたらすぐわかる」編集長のオンナとオトコ論が寒々しい「DRESS」
同連載によると、資本主義とは、中心地に周辺から富やお金を蒐集することで成り立っているのだそう。イギリスが植民地から搾取をしたのと同じような仕組みです。そして近年までは日本もその中心地の1つであり、発展途上国から搾取を続けてきました。しかし途上国が今や新興国となると、新たな「周辺」を作らなければならず、搾取される側を国内で無理矢理生み出すというのです。それがアメリカのサブプライム層であり、日本の非正規社員なんだとか。非正規社員=正社員に搾取される側、と考えると、ちょっと空しくなりますね。
非正規社員のアラフォー女性は、現在、少なくないでしょう。リストラや結婚などの理由で退職し、正社員から非正規社員になった人も多いと思います。終身雇用が鉄板ではなくなった今、搾取する側から転落しないように自分を磨いていかないと行けないということを、暗に読者に訴えているのかもしれません。。
とまあ、いろいろ考えさせられることが多い記事でした。いままでの傾向を見ると、「ときどき連載」と書いておいて、評判がよければ正規連載にするという形だったので、今月号はお試しでしょう。しかし面白かったとはいえ、前述の通り、同じ発想の企画を2つ同時にやるのって、ちょっと手抜き感が否めません。どうせならいっそスポーツバージョンとかも作って、専門家対談誌にしてはどうでしょうか(投げやり)。
■ネアンデルタール人って何事?
毎号、巻頭に載っている編集長のコラム「Editor’s Letter」。今月号は、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションについてがテーマです。女は男の浮気を見破れる、という話からネアンデルタール人が絶滅した理由になり、編集スタッフ全員で合宿したという話になってます。なんやかんや書いていますが、結局のところ言いたかったのは「スタッフみんな頑張ってるんで次号からお楽しみに」ってことみたいです。
それは置いておいて、気になったのは、「女は浮気されたらすぐにわかる」というくだりで、浮気を疑われたら、取り繕おうとしても無駄だ、女は全てお見通しなのである、だから「世の男族よ、闘わずしてすでに勝負はついているようだ」と言ってるんですが、読んでいて「え、そこ?」と思ってしまいました。闘うってどういう意味でしょうか。「浮気なんかしてないよ!」と白を切ること? 文脈からはそう読めます。浮気することは前提というか、黙認……? 浮気自体するべきじゃないのでは? と疑問が浮かびます。そもそもこのコラム、「言語」「非言語」という括りにはしているけれど、出だしと結末がまるで一致していないので、何を言いたいのか今ひとつわかりにくいのです。だったら「浮気なんかする前にちゃんと相手と言語コミュニケーションを取ってよい関係を築きましょう。編集部スタッフ同士も合宿で言葉を尽くして理解を深めました」なら話の筋が通ったのに。
一見、「男の浮気を見破れる女はすごい」と持ち上げているように見えますが、男の浮気自体は肯定していて、こびりついた男尊女卑思考がダダ漏れです。「女が読んだらどう思うか」の視点がさっぱり抜け落ちてますね。「DRESS」に見え隠れする男目線、今月号も健在です。
(増井涼子)