日本一ワキガを診ている医師に聞く! 最も効果的な制汗剤&ニオイケア方法とは?
じっとしていても汗ばむこの季節、気になるのが“におい”。株式会社シービックが20~30代の男女を対象に行ったにおいに関する調査によると、約35%の女性が「自分の汗は他人と比較してにおうと思う」と回答しています。中でもワキは「においの気になる部位」ベスト1で、その割合はなんと65.4%。半数以上の女性が、ワキ汗のにおいを気にしていることがうかがえます。その中には「ワキガではないか」とひそかに悩んでいる人も多いとのこと。そこで、汗の研究の第一人者である、五味クリニック院長の五味常明先生に、ワキ汗臭の対処法をお聞きしました。
――ワキの汗やにおいに悩んでいる女性は多いのですが、先生のもとへ受診される方の中には、どのような患者さんがいらっしゃいますか?
五味常明氏(以下、五味) ワキの悩みで来院される方は、主ににおいを気にする方と汗の量に悩む方とに分かれます。最近はワキ汗の多さに悩んで来られる女性が増えていますね。ただ、「ワキガではないか」と思い悩むことで汗の量が増える「精神性発汗」も多いので、そのような方にはボトックスで対処しています。実際にワキガの場合はにおいのもとを除去する手術と電気凝固法の2種類の対処法がありますよ。
――本当のワキガか、ただの思い込みか、セルフチェックはできるのでしょうか?
五味 はい。ワキガの人はアポクリン腺量が多く、皮脂腺も発達しています。そのため、耳アカが湿っていたり、衣服や下着のワキ部分が黄ばんだりするようなら、ワキガの可能性が高いといえるでしょう。また、遺伝的要素も高いので、肉親にワキガ体質の人がいる場合も可能性が高まります。
――ワキガだと思い込んで来院される方の中で、実際にワキガの人はどの程度いらっしゃいますか?
五味 ワキのにおいに悩んで来院される方のほとんどがワキガを疑っていますが、実際は3割ほどです。他人に指摘されたり嫌な顔をされたりした経験などから、自分のにおいを気にしすぎてしまう真面目なタイプに多いですね。「自分はにおう」と思い込んでしまうことで、さらに発汗量が増えているという人もいます。
ワキガの場合はにおいの元となるアポクリン腺を取り除く方法が有効ですが、そうでない場合は、ワキを清潔にして効果の実感できる制汗剤をつけ、「におわない」と自信をつけることが大切です。
――さまざまなタイプの制汗剤が売られていますが、最も効果の高い制汗剤はどのようなものですか?
五味 においケアに最も効果的なのは、消臭成分が密着しやすい「肌に直接塗りつけるタイプ」のものです。朝一度つけると夜まで効果が持続するものもあるので、仕事中や外出先で、においや汗ジミなどで他人の目を気にせずに済むという効果もあります。その中でも特におすすめなのが、天然成分である「ミョウバン」を主成分にしたものです。ミョウバンにはにおいの元となる雑菌の繁殖を抑制する効果と、毛穴を引き締めて汗を抑える効果があるといわれ、古代から天然の消臭剤として愛用されてきました。市販のものであれば、「デオナチュレ」などに代表されるミョウバン配合の直塗りタイプを清潔な状態の肌に塗布することで、高い効果を実感できます。
――よくやってしまいがちな、間違ったニオイケアがあれば教えてください。
五味 制汗剤には吸れん剤が含まれているので、広範囲に塗布しないことが望ましいです。吸れん剤は皮脂の分泌を抑えて毛穴を引き締める効果があるので、広範囲に塗布すると真夏などは熱中症になる可能性もあります。そのため、汗の蒸発しにくいワキと足裏の2カ所だけにとどめておきましょう。
五味常明(ごみ・つねあき)
五味クリニック院長。体臭・多汗研究所所長、流通経済大学客員教授。体臭・多汗治療の現場で「心療外科」という新しい医学分野の治療法を実践。テレビや雑誌でも活躍中。著書・監修本も多数。