サイゾーウーマンカルチャーインタビューパリにはオムツ交換台がない!? カルチャー じゃんぽ~る西さん×西村・プペ・カリンさん夫婦対談(後編) 「“ママ友”は親基準」「パリはおむつ交換台がない」……日本とフランスの子育て環境の違い 2015/07/20 16:00 インタビュー パリでも「子育て世代への差別」がある!?(C)じゃんぽ~る西/FCフィールコミックス/祥伝社 ■反フランス流子育て!? ――具体的な子育て術についても教えてください。日本では昨年『フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密』(パメラ・ドラッカーマン著、鹿田昌美訳、集英社)という本が発売されました。その中で、子どもが泣いてもすぐに抱き上げず、5~10分観察することによって子どもが何を望んでいるのかを見極め、子どもが睡眠サイクルを体得することを邪魔しない。それによって子どもが夜は長時間寝るようになり、母親の身体的な負担を減らすという方法が紹介され、話題となりました。カリンさんも、そういったフランス式子育てをしていたんですか? カリン いや子どもが泣いていたら、かわいそうで放っておけないです。なにが理由だろう? と見に行きますね。夜泣きに関しては、産後3カ月は仕事を休んでましたから、自分は最悪寝なくてもいい、誰もが体験することだと覚悟してました。子どもはスポンジのように親の影響を受けちゃうので、なるべくイライラしないようにと。 じゃんぽ~る 妻は、子どもが泣くのには必ず理由があるはずだから、どうしたら泣きやむんだろうと対策を練るタイプですね。 ――本の中でも、赤ちゃんのベッドを昼と夜で替えて、体で環境を覚えさせるという方法を試されていましたもんね。 カリン 夜泣きしなくなったのは偶然ですよ。たまたまお宮参りのときに移動が続き、子どもが10分以上連続で寝ることができなくて、その夜は一度も起きなかったんです。そこから一度も夜泣きすることがなくなった。本当にラッキーです。 ――じゃんぽ~るさんは、カリンさんが仕事に復帰した後、お子さんを保育園に入れるまでの5カ月間の日中は1人で見てらしたそうですが、イライラされなかったですか? じゃんぽ~る 5カ月だけなんで、偉そうなことは言えないんですけど。でも妻からの「ちゃんと子どもを見てるの?」っていうプレッシャーが強くて……。だから「子どもが泣くときもあるけど、全てを止めることはできないし、仕事があって泣かしておくしかないときもあるから。あなたが要求するレベルまでできません」と伝えたら、「そんなつもりじゃない、要求してない」って言われて、あ、そうなの? みたいなやりとりはありました。子どもの泣き声だけは参りましたが、全体的には楽しかったので、もう一回赤ちゃんの世話をしたいと本気で思ってますね。 ――夫婦間において「ちゃんとやってるの?」はケンカを引き起こしやすい言い方ですが、それを引きずっていないのがすごいですね。 じゃんぽ~る 問題が生じたら、話し合うようにはしてます。例えば僕は料理が苦手なので、今は食事は妻が作ってくれますし、ちょうどレンジが壊れて、そしたら妻が最新の焼き料理や蒸し料理ができるようなものを買ってきて、機械に強い妻がそれを活用するようになってから料理時間が短縮されました。 カリン 家事を絶対50%ずつやらなきゃいけないみたいなのはないですね。互いに忙しいタイミングがあるので、できないならしょうがない。それをフレキシブルに対応して、解決してますね。お互いへの理解が必要。だから不満もないんです。新聞やネットを見ると、日本人はパートナーへの不満を不特定の人に向けて書いてますが、それをなぜ本人に言わないの? って思う。 じゃんぽ~る あと、妻はいつでも「ありがとう」と言ってくれますね。大したことをしてないのに、「○○してくれてありがとう」と。日本人って、「ありがとう」を言わない関係の方がレベルが高いという感覚があるじゃないですか。僕も男同士の関係ではそう思うし。でも、「ありがとう」って言ってくれるから、こっちも言うようになりますしね。 ■子育ての基準は、義母の一言 ――そんな仲のいいおふたりですが、いわゆる“産後クライシス”はありましたか? カリン 私たちは全然大丈夫でした。彼は家で仕事をする人で、一緒にいてくれたことが精神的な支えになりました。ただ、産後に彼の両親の家で過ごすことになっていたのですが、彼が一緒に来てくれるかわからなかったので、そのときだけは不安でしたが、結局一緒に来てくれたし。 じゃんぽ~る いきなり妻と子どもだけを預けるわけにいかないでしょう。あとすごく助かったのは、やっぱり僕の母親の存在なんですよね。僕らは初めての子どもだから、まったくなにもわからない。本当に何げないことなんですけど、「泣かすしかないときもあるからね~」という一言で安心できます。母親に限らず、経験者が近くにいると、その発言が基準になるからありがたい。 ――フランスでも「嫁姑問題」があるそうですが、カリンさんはじゃんぽ~るさんのお母様と仲良くされてますね。 じゃんぽ~る いや、うちの母親も、嫁に対する要求レベルが変わったんだと思いますよ。なかなか息子は結婚しないし、ようやく連れてきたと思ったら、相手は文化の通じない“異星人”だし。「こりゃ言ってもしょうがない」ってなったんだと思いますよ。もし相手が日本人だったら、もっと細かいことを要求してたと思います。 ――その側面もあると思いますが、カリンさんが素直にアドバイスを聞き入れて、子育てを試行錯誤している点も大きいと思います。 カリン 私は子育ての面でも日仏のどちらかが優れているとは思っていないですし、それを断じる立場でもない。でも確かに違いはあるし、それを知ってほしい。そのために本を書いたんです。違いが見えてくれば、なにかしら読者のヒントや楽しみになってくれるんじゃないかと思います。 『モンプチ 嫁はフランス人』 『フランス人ママ記者、東京で子育てする』 前のページ12 最終更新:2015/07/20 17:06 関連記事 「自分の強さを守ること」瀧波ユカリ氏にママ同士の“内政干渉”への防護策を聞く嫁姑関係は“夫と姑”の問題。いい嫁願望を捨て、心地よい距離を探るのが賢明結婚出産だけが女の人生ではなかった――『江戸の女子図鑑』で知る、現代女性の“選択肢”完璧を求める社会が闇に追いやった、出生前診断による選択的中絶問題すべての夫婦は“特殊”、「こうあるべき」を無視していい 次の記事 触れられないことで感じる“官能”の正体 >