コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」
『5時に夢中!』内藤聡子アナに考える、男はなぜ“ジジ殺し”に執着するのか?
2015/05/21 21:00
つまりジジ殺しとは、単なる年配者ではなく、「権力を持ってる」年配者に好かれることなのだ。人口比で言えば、権力を持つ人より、持たない人の方が多いわけだから、男性週刊誌や日刊ゲンダイの読者も、非権力者である可能性の方が高い。「一緒に飲みたいけど、権力のない俺たちなんて相手にしてもらえない」――ジジ殺しとは、そんな男たちの僻みが含まれた、一種のあてこすりなのではないだろうか。なので、男性にジジ殺しと言われた場合、モテるねと褒められているのではなく、権力好きだねとそしられていると解釈する方が正しい。
余談だが、筆者は会社員時代、「ジジ殺し」とか「オジサンにばっかりモテる」と自称する女性は、30代半ばの独身女性が最も多く、1人も20代はいなかった。女性の若さを尊ぶ日本では、常識的に考えれば、20代女性の方がジジ殺しである率は高い。それなのに、なぜ該当者が現れないかというと、若い女性はジジイに可愛がられることは当たり前すぎて、うれしくも何ともなく、場合によっては苦痛だからなのではないだろうか。そのため、モテ履歴にジジイを加えないのである。
ジジ殺しを自信満々に自称する女性は、実は自分を求めてくれる男性を欲し、蝶の標本のように、ジジイを採集してディスプレイしているように思う。異性に求められたいという気持ちを否定するつもりは毛頭ないが、その寂しさにつけこむ悪いジジイには、注意していただきたいものである。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
ブログ「もさ子の女たるもの」
最終更新:2015/05/21 21:00