コラム
【連載】プウ美ねえさんのエプロンメモ

「子育て中で献立を考える余裕がない」うるさい家族も黙らせる、上質な“料理の手抜き”術

2015/05/04 21:00
(C)熊田プウ助

家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。

【今月のお悩み】
「献立の作り方を教えてください」
 初めての子育て中で余裕がなく、毎日の晩御飯の準備が面倒でたまりません。ついでに赤子を抱えての買い物も大変で、行く回数を減らすべく、できるだけまとめ買いをしたいのですが、そうすると前もって献立を考えなくてはならず、でもそんな風に頭が回りません。現在、某アジアの国在住で、クックドゥ的な物はバカ高い値段でしか手に入らず、あまり頼れません。簡単な1週間(できればそれ以上)分の献立、または献立の作り方を教えてください。(ぱくぱくさん、37歳)

【プウ美ねえさんからの回答】
 ご病気のかたや、外出のままならないお年寄りならば誰かに頼らざるをえませんが、本当なら自分の食事くらい、性別や立場に関係なく自分でなんとかすべきです。強く分担をすすめます。しかし、もしもぱくぱくさんのご家族が、独身のホモにすら助けを求めたい主婦の窮状に無理解な冷血漢ぞろいであったならば、これはもう手を抜くしかありませんね。どうどうとサボりましょう。ようは、おいしければよいのです。

 プウ美ねえさん流の手抜きのコツは、ずばり調味料です。お気に入りの調味料をそろえておくと、そんなに手間ひまをかけずとも、そこそこの料理になるものです。いいバターがあれば、チンしたジャガイモもごちそうですし、ちょっと油を落としてゆでた青菜にオイスターソースをかけたりすると、いくらでもいただけます。また、好みのスパイスや柚子胡椒、めんつゆなんかがあれば、できあいの焼き物や揚げ物もぐんとおいしくなります。なんなら、献立はゆで鶏や蒸し野菜、そうめんなどごく簡単なものにして、味付けは食卓に並べた調味料で、各人にまかせてもよいのです。おなじ鶏でもナンプラーなり、塩とオリーヴ油なりと味つけを変えれば、週に2、3回食べたって飽きないものです。おねえさんの回りの料理上手たちは、かならず調味料を厳選していますし、いろいろそろえています。多くそろえても、使うのは少しづつなので、長い目で見ればたいした出費ではありません。一度で使い切るタイプの料理の素より、ずっと経済的です。アジアには、黒酢や辣油、コチュジャンにサンバルにスイートチリソースと、おいしい調味料がたくさんあります。せっかく外国にいらっしゃるのですから、ぜひその土地ならではのお味と、食材とのハーモニーを楽しんでみてください。

 赤ちゃんがいるということは、お乳が出るのでしょうか? もしもまだご家族が、どうしても手のこんだ料理を食べたいなどと言った時は、育児疲れで錯乱したふりをして、並べたばかりの料理にドレッシングのようにふりかけてごらんなさい。きっと、大事にしてもらえるはずです。

【今月のエプロンメモ】
錯乱作戦には、ひとつ落とし穴があります。よのなかには、奥さんの母乳を飲みたがる男性が、すくなからずいるのです。その場合は赤ちゃんと夫、ふたりぶんを生産させられることになりかねません。酷使されるおっぱいはたいへんですが、料理の手を抜く引き換えに、少々飲ませてあげるのもよい手です。

熊田プウ助(くまだ・ぷうすけ)
1969年生まれ、ゲイ漫画家。都内でひっそりと飼い猫と暮らす日々を描いたエッセイマンガ『本日もおひとりホモ。中年マンガ家生活』(ぶんか社)など、著書多数。最新刊は、作画を担当した『世界一周ホモのたび 祭』(同)。

<お悩み大募集>
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最終更新:2015/05/04 21:00
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