「おとなのOlive」が鮮やかに描き出した、“自分の好きをみつける”「Olive」のメッセージ
■スタイリストを大抜擢した「Olive」の魅力
実は「おとなのオリーブ」の誕生は、大森さんが昨年の春に「GINZA」でOliveを10ページ再現したことがきっかけだという。「あまりに可愛くて、発売後にツイートが止まらないくらい話題になったんですよ。それをきっかけに、私たちも『Olive』ってものを1回見直してみようかと、復活が実現したわけです」と中島編集長が明かす。
そんな大森さんにとっての思い出の誌面は「夏のおしゃれ提案から私生活まで…オリーブのスタイリストが作ったオリーブ」特集(91年6月18日号)。スタイリストをフィーチャーした切り口は、当時、ほかの雑誌には皆無で、初めて「4ページを好きにしなさい」と言われた号として印象深いと話した。また、大森さんは「モコモコおしゃれ、かわいく決めて町に出よう!」特集(94年12月3日号)もピックアップ。
「それまでナチュラル路線だった『Olive』が、遠山こずえ編集長というハジけた方に代わった頃で。いつも海や山での撮影ばかりだけど、“私らしさ”って、何だろう? と考えた時、やっぱり私は街が好きだな、街で着る服でこそ、すごく女の子でいたいなと強く思ったんですね。だから原宿で撮りました」(大森さん)
「Olive」はスタイリストに大事に育てられたと言っても過言ではない。その強い個性は一体どうやって確立されたのか? そう問いかける中島編集長に、大森さんは、この道のパイオニアである近田さんへの“あこがれ”が大きかったと答えた。「当時、スタイリストは全員思っていました。いつか、まりこ(近田)さんみたいになれないかなと。ただ、同じことはできないし、してもいけないわけで。“自分の好きをちゃんと見つけるスキル”を身に付けようという空気がありましたよね、押し付けじゃなくて」。作り手側のそんな空気は多感なオリーブ少女たちに多大なる影響を与えた。
では一体、近田さんの“カワイイだけじゃないパンクな精神”はどこから来たのだろう? 「元々音楽を聞いていたり、男の子と一緒に遊んでいた影響が強いんですか?」と尋ねる中島編集長に、近田さんは、「それまでの育ち方全部が『Olive』に全部ぶち込まれていたかもしれません。私のデビューは遅くて、30代だったんですね。アシスタントに付いたこともないのに、知り合いのカメラマンを純粋な楽しみとして手伝っていたら、当時の編集長が、じゃあ、やってみる? と声をかけてくれて。完全なるぶっつけ本番だったから、そうするしかなかったんです」と新人時代を語った。
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