カルチャー
娘と年老いた親の関係を考える

独身、一人暮らしの娘と老いた親との距離感を描く3作――“正解”のないそれぞれの選択

2015/04/26 21:00

 娘と母の関係はややこしい。「母が重い」なんて言葉、最近でこそようやく公然と口に出していい雰囲気になったものの、母親に対してそんな気持ちを抱いていることに後ろめたさを感じている娘は多い。ましてや親が年老いてくると、弱くなった親を鞭打つようで、後ろめたさは一層大きくなる。親が老いても、いや、老いたからこそよりややこしくなった関係を描くコミック作品も出てきた。

■かつて自分を虐待した母親の介護に直面、仕事を辞めて同居した娘

『アカシアの道』(青林工藝社)

 『アカシアの道』(近藤ようこ、青林工藝社)は、初出が1995年。もはや古典といっていいくらいだが、発表当初は時代の先端を行く意欲作だったのだろう。今ようやく「母が重い」「母が嫌い」問題が市民権を得て、時代が追いついてきたとも言える。

 ミサコは、教師だった母親に虐待されて育った。大学入学と同時に家を出たが、母親がアルツハイマー型認知症になり、仕事を辞めて同居する。母親との関係に苦しむミサコは、親友に「母のことが嫌い」だと打ち明けたが、「お母さんでしょ」と返され傷つく。親との関係が良好な人には絶対にわかってもらえないから、めったなことは言えないのだ。付き合っていた男にもフラれてしまい、ミサコに残されたのは、皮肉にも母親だけになる。子どもの頃から母親と2人きりだったミサコは、「母が仕方なくわたしを育てたように、わたしも仕方なく母の世話をするのだろうか」と、今の状態をあきらめて受け入れようとする。しかし母の認知症が進み、追い詰められたミサコは、かつて母親にされたように、手を上げそうになる。

 ミサコはまだ20代だ。ミサコのような若年介護者の問題が社会でも表面化してきている。ある青年との出会いで、ミサコは母親と距離を取ることを覚えていくが、仕事も友人も断たれて、人生の大事な時期の全てを介護に捧げた若年介護者は、親が死んだ後、大きなハンデを負ってしまうことになる。社会として早急に取り組まなければならない課題だ。

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