井上真央『花燃ゆ』、9.8%に大低迷! 関係者が指摘する「視聴者に敬遠されてる」背景
井上真央主演の大河ドラマ『花燃ゆ』が低迷している。初回視聴率16.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、ここ10年の大河で最低の滑り出しを切った後も数字は下がり続け、先日12日には9.8%と屈辱の1ケタ台を記録してしまった。この日は午後8時から『NHK 2015統一地方選開票速報』が放送されたため、午後7時15分からの放送となったことも災いしたようだ。
傑作と呼ばれるドラマが低視聴率で終わることはままあるが、この『花燃ゆ』も同様、熱心な視聴者の中には「どうしてそんなに数字が低いのかわからない」「幕末のことがわかりやすく紹介されていて面白い」という声もある。
だが一方で、「今のところ、告げ口したり泣き腫らしているだけで、主人公が文(井上真央)である必要がない」「大河ドラマらしい格調の高さがない。雰囲気が朝ドラか、もしくは『木曜時代劇』」など批判的な声も多い。
「『画面が朝ドラっぽい』という意見は、4年前の朝ドラ『おひさま』に井上が主演したときの記憶が強く残っているためでしょう。また、最近の朝ドラでよく見かける俳優が『花燃ゆ』に出演していることも理由なのでは。『おひさま』で井上の夫役として好演した高良健吾、『ごちそうさん』に出ていた東出昌大に原田泰造、また『カーネーション』からはほっしゃん。こと星田英利、さらに5月最終週からは『マッサン』北海道編で森野一馬役を演じた堀井新太も登場します」(芸能記者)
それにしても、朝ドラ主演からわずか4年で大河主演とは、井上の飛躍にも驚かされる。同様の抜擢は、過去にも例があったのだろうか?
「これからのドラマ界を担う俳優を育てる目的もあるといわれている大河では、朝ドラから主演が抜擢される例は少なくありません。『純情きらり』の宮崎あおいは、その出演中にすでに2年後の『篤姫』のオファーを受けましたし、『ひまわり』のヒロイン・松嶋菜々子は6年後、『利家とまつ』の主演に選ばれました。また、『どんど晴れ』の比嘉愛未は、同作の脚本を務めた小松江里子が2年後に手がけた『天地人』にも出演しています」(業界関係者)
またこの『花燃ゆ』には朝ドラ出身に限らず伊勢谷友介、大沢たかお、瀬戸康史など、とにかくイケメンを揃えていることが揶揄されているが、最高視聴率26.0%を記録した『天地人』では、直江兼続役を主演した妻夫木聡をはじめとして、伊達政宗役の松田龍平、真田幸村役の城田優、石田三成役の小栗旬など名だたる武将がイケメン俳優で固められたこともある。これについても、「今までは当たってきた、こうした確信犯的な“狙い”が、もはや視聴者には見透かされ、敬遠されている」と前出関係者は指摘する。
しかし、これら配役以外に今回の低迷の最大の原因は、「取り上げた時代設定にある」という説が根強いようだ。
「『花燃ゆ』は、明治維新を駆け抜けた吉田松陰の末の妹、杉文を中心とした青春群像劇ですが、大河には『幕末ものは当たらない』というジンクスがあります。例えば1967年、明治維新100年目の記念作として作られた大河5作目『三姉妹』は、旗本の三姉妹という庶民の視点から明治維新を描いた物語でした。しかし初めて無名の人物を主人公にしたのが災いしたのか、平均視聴率は19.1%と、大河としては初めて20%を切ってしまったのです。続く翌年に放送された『竜馬がゆく』も平均14.5%と振るわなかった。さらにいうと、1977年の15作目『花神』は、大村益次郎を中心に、吉田松陰や高杉晋作ら明治維新を担った若者を描いた群像劇でしたが、初回視聴率は16.5%、平均視聴率も19.0%に終わりました」(前出・芸能記者)
とはいえ幕末ものでも、『勝海舟』や『篤姫』、『龍馬伝』といったヒット作がある。結局は脚本家の筆力なのではないだろうか。ちなみに、のちに文の夫となる久坂玄瑞はこの『花燃ゆ』では東出昌大が演じているが、先の『花神』ではあの志垣太郎が熱演していた。
「大河ドラマは放送開始以来53年、今作で54作目。英雄ばかりではなく歴史の脇役を主役に据えたり、女性からの視点で新解釈を加えたり、さらには近現代を取り扱うなど新たな試みを続けてきましたが、ここ10年はかなり蛇行を繰り返している。今後は、まだ取り扱っていない古代をテーマにしたり、視聴者投票で主人公を決めるなど思い切った新機軸を打ち出す時期に来ているのでは」(同)
何度も「限界説」が出ては、そのたびに盛り返してきた大河ドラマ。『花燃ゆ』がどこまで劣勢を跳ね返せるのか、見守っていこう。