現代コスメのニーズは「コンフォート」!? 化粧品市場が熱視線、50代以上の女性“美”
女性誌には「美魔女」、テレビではサプリや化粧品のインフォマーシャルと、50代以上の女性向けの商品が目立つと感じたことがあるかもしれない。化粧品市場はかつてないほど50代以上の女性の「美」に焦点が当たっている。2014年の化粧品市場は2兆3,428億円(見込み・富士経済より)程度で13年の2兆3,227億円と比較すると100.9%の伸長率となり、少子化で市場の頭打ち傾向が続く中で、躍進を続けているのが50代以上をターゲットにした分野である。
■50歳以上の市場が活況の理由
統計局人口統計によると19年には、50歳以上が全女性の5割を超える見通しとなっており、資生堂によると、化粧品市場においては50歳以上女性の購入金額構成比がすでに46.7%(金額シェア/一般化粧品構成比)を占め、市場規模で約1兆6,500億円にまで上っている。
美容を含め健康関連市場でもシニア向け製品が活況で、サプリなどの健康食品関連を見てもシニア層向けエイジングケア製品を主力に成長傾向にあり、フィットネス業界も数年来、60歳以上の女性の顧客に支えられている。
化粧品業界の主要顧客は20~30代であり、これまでシニア向けの化粧品ブランドはほとんどないといってもよいほど、パッケージやマーケティングにおいても地味な存在であった。シニア層は化粧品の購買欲が低いと思われていたためだが、アンチエイジングの美容液やオールインワンゲルなどの単独の製品のヒットを経て、次第に大手メーカーでも50代以上のブランドを積極的に推し進めるようになっている。
■資生堂、花王、シニア向けに参入
昨年、コーセーのメイクアップブランド「エルシア」はターゲットを30代から50代以上の女性に向けたブランドとしてリニューアル。小泉今日子をイメージキャラクターに“大人の女性の可愛らしさ”を引き出すコスメを打ち出した。ファンケルでも50 代以上をターゲットに、黄ぐすみとツヤ、ハリ感に着目したベースメイクのエイジングケアラインとして、「エクセレントリッチ」ラインを発売。
今年に入ってもシニア向けブランドが続々とデビューしている。資生堂はシニア女性向け化粧品の新ブランド「プリオール」を1月からスタート。大人の女性を輝かせるスキンケアとメイクアップのシリーズで、ピンクのパッケージが目を引く。花王「オーブ クチュール」からは50歳以上向けのアイシャドーパレットとリップを3月に発売。久本雅美をイメージキャラクターに若々しい、“簡単キレイ”を提案している。もともとエイジングケアを目的としたブランドでも、ポーラ・オルビスホールディングス「B.A(ビーエー)」では米倉涼子とともに夏木マリ、P&G マックス ファクター合同会社のSK-IIでは綾瀬はるかとともに桃井かおりが抜擢されているように、数年前より50代以上を強化したマーケティングがなされている。
さらに遡ると08年にはリフトアップやツヤを醸し出すエイジングケアのためのメイクを提案するCHICCA(カネボウ化粧品)がデビュー、10年にはエイジングスキンケアのF.A.G.E.(サントリーウエルネス)がデビューしている。数年前の大人の女性らしい落ち着いた雰囲気のシニア化粧品と、BBクリームや一塗りで明るい目もとを叶えるメイクパレットなど、使い勝手がよく、かつ可愛らしいピンクが特徴的な今年の資生堂「プリオール」、花王「オーブ クチュール」は対照的でシニア向け化粧品の多様化がうかがえよう。