サイゾーウーマンカルチャー漫画レビュー幸福論としての『マリーマリーマリー』 カルチャー 『なんかおもしろいマンガ』あります ~女子マンガ月報~【3月】 『マリーマリーマリー』が描く、“足りない”“不完全”でも幸せな2人による幸福論 2015/03/23 21:00 マンガ『なんかおもしろいマンガ』あります 【3月の注目作】『かくかくしかじか』感動の完結巻は25日発売! 左から『こいいじ』1(講談社)、『たそがれたかこ』4(講談社) もしかしたら、口コミ等で徐々に人気が広がりつつあるのかもしれない入江喜和先生の『たそがれたかこ』(講談社)は、大根仁監督による強力な帯コメントつきで4巻が大好評発売中です。現在進行中のライブ編がまた素晴らしい。音楽を聞くことの喜びが、とても感動的に表現されています。 同日、3月13日に発売された志村貴子先生の『こいいじ』1(講談社)では、著者の超一流の語りのテクニックが炸裂しています。法事の様子を描いた第1話では、淀みなく登場人物が紹介され、物語が立ち上がり、のみらなず絶妙な引きを用意して終わります。その後もフラッシュバックを多用しながら、主人公の長い長い片思いを、切なく、重く、時に滑稽に物語っていきます。さすがの志村先生、少女マンガのフォーマットに落とし込みながらも、一筋縄ではいきません。 23日には、乗りに乗ってる鳥飼茜先生の『先生の白い嘘』3(講談社)が発売されます。13日に発売された『おんなのいえ』5(講談社)も併せてぜひ。 25日には「ジャンプ改」(集英社)の休刊に伴い「Cookie」(同)に移籍した岩岡ヒサエ先生『孤食ロボット』の第2巻が発売されます。連載が無事に続いて何よりでした。「ジャンプ改」と言えば斉木久美子先生の『かげきしょうじょ!』も、無事に「メロディ」(白泉社)へ移籍して『かげきしょうじょ!!』となり(「!」が1つ増えました)、絶賛連載中です。本当に良かったです。 同日には東村アキコ先生『かくかくしかじか』(集英社)の完結巻、5巻も発売されます。とても良い終わり方でしたので全人類にオススメしたく思います。仕事や勉強に悩む人に、きっと頑張る力を与えてくれることでしょう。 小田真琴(おだ・まこと) 女子マンガ研究家。1977年生まれ。男。片思いしていた女子と共通の話題が欲しかったから……という不純な理由で少女マンガを読み始めるものの、いつの間にやらどっぷりはまって、ついには仕事にしてしまった。自宅の1室に本棚14竿を押しこみ、ほぼマンガ専用の書庫にしている。「SPUR」(集英社)にて「マンガの中の私たち」、「婦人画報」(ハースト婦人画報社)にて「小田真琴の現代コミック考」連載中。 前のページ12 最終更新:2015/08/28 15:18 Amazon 『かくかくしかじか 5 (愛蔵版コミックス)』 花粉シーズンこそマンガよね 関連記事 華やかでエロティックな遊郭を舞台に、花魁の愛と悲しみを描く『蝶のみちゆき』宝塚・アイドルへの祝福にあふれる『かげきしょうじょ!』、今こそ読むべき名作の予感『あれよ星屑』『あとかたの街』、本ではなくマンガだから伝わる戦争と愛と人間絶望を投げかける“少女マンガ的”映画『トム・アット・ザ・ファーム』が救うもの少女と少年の“ちょっと大人になった”夏が鮮やかに満ちる、『子供はわかってあげない』 次の記事 観月ありさ&夫、過去のキナ臭異性遍歴 >