エルトン・ジョン、体外受精を非難したドルチェ&ガッバーナに対するボイコットを呼びかけ
エルトンの逆鱗に触れてしまったドメニコとステファノだが、ホモフォビア(同性愛嫌悪)というわけではなく、彼ら自身もゲイである。2人はドルチェ&ガッバーナのビジネス・パートナーとしてだけでなく、プライベートでもカップルとして23年間交際。05年に破局してしまったが、今なお強い絆で結ばれていることで知られている。
2人は、同性が愛し合うことは自然だと受け止めているが、同性同士で結婚し、家庭を築くことには反対だという姿勢を見せてきた。06年にステファノが、「ゲイパートナーの家庭で子どもが育つということに私は反対だ」「子どもには母親と父親が必要だからだ。自分が子どもだった頃、母親はかけがえのない存在であり、母親なしの子ども時代なんて想像もできない」「(生みの)母親から赤ん坊を奪うということになるし、とても残酷だと思う」などと発言し、物議を醸してきた。
ドメニコとステファノは今回、イタリアの雑誌「Panorama」3月12日号のインタビューで、これまでにも増して同性ファミリーに強く反発。「ゲイが養子縁組をすることには反対だ」「家族と呼べるものは、父親と母親がいる伝統的な家族だけ」と主張し、「人工的に受精させたり、子宮をレンタルしたりなんて間違っている。命とは自然な流れの中で生まれるものなのだ」と断言。「この世には変えてよいものと、変えてはいけないものがあるんだ」「子どもとは愛する行為、セックスによって授かるもの」「みんな母親と父親の間に誕生したでしょう。そうあるべきなんですよ」と熱弁を振るった。また、「人工的な子どもたちは、ずばり“合成物”。レンタルされた子宮とカタログから選ばれた精子を合体させた合成児だ」と主張。「家族には流行なんてない。昔から神秘的な絆というものがあるんだ」と語り、この発言がエルトンを激怒させることになった。
ドメニコとステファノに賛成する意見は少なくないが、エルトンのように法律でも正式な夫婦だと認められたゲイ夫婦が、愛のあふれる環境の中で子どもを育てたいと願うのは自然な流れだと捉える人もおり、ネット上ではエルトン派VSドルチェ&ガッバーナ派に分かれ、さまざまな意見が飛び交っている。
この騒ぎを受けてドメニコとステファノは、「他人が選択したことを批判しようと発言したものではない。我々は男女問わず自由に人を愛する“愛の自由”を信じているしね」と弁解しているが、波及の大きさにかき消され気味だ。大手メディアやファッション誌がドルチェ&ガッバーナの広告をボイコットする可能性を懸念する声も出ており、今後この騒ぎがどのように展開していくのかが注目されている。