美容・健康
化粧品開発者が明かす「コスメ種あかし」

「化粧水より効果大」は嘘!  シートマスクの“特別感”イメージを演出する仕掛けとは?

2015/03/15 19:00

――なぜシートマスクにエタノールが入っているのでしょう?

尾崎 断定はできませんが、エタノール類は使用感がスッとするので、肌が水分を吸収している感じを演出するためかもしれませんね。こうした“マジック系”の成分はほかにもあり、例えば(スチレン/ビニルピロリドン)コポリマーは、肌が即時に滑らかになるという感じを演出するために配合されている場合もあります。

――今までの話を総合すると、「肌が荒れ気味だからシートマスクでフォローしよう」という使い方は適切ではなさそうですね。

尾崎 その通りです。エタノールは肌への刺激になりかねない成分ですし、またシートパックの中には、日中の使用も想定しているのか、紫外線吸収剤が入ったものもあります。これを睡眠前に使うと、「日焼け止めを塗って寝る」ようなものなので、肌が荒れているときはなおさら刺激になってしまいます。なので、シートマスクの使用は、肌が健康なときに、肌荒れ予防として使用する方がいいと思います。ちなみに皆さんが引っかかってしまう化粧品トラップに、「薬用」という言葉があります。有効成分が含まれている=薬用と明記されているだけで、医薬部外品とあっても、肌の刺激となるアルコールや防腐剤、界面活性剤などが含まれている製品も多いため、敏感肌用ではありません。「薬用」と書いてあるだけで、肌が荒れている日も使用OKと考えて使わないように気を付けてくださいね。

――では最後に、シートマスクのオススメの使い方を教えて下さい。

尾崎 先ほども少し触れましたが、あくまでデイリー使いがオススメです。トウエキスやハトムギエキスなど、抽出系の美容成分がたくさん入っているシートマスクは、化粧水と同じで長期的に使わないと効果を感じにくいもの。なので、「シートマスク=即効果を出すアイテム」と考えないようにしてください。

 あとは旅行時など、ビンの化粧水を持って行くのが面倒くさいという場合、シートマスクは重宝します。1回分の化粧水代わりに、個別パッキングされたシートパックを1枚持っていくなどの使い方はいいですね。あとは、シートマスクは、リラクゼーションできるので、ゆっくり癒やされたいというときに使ってみるのはいいかもしれません。朝のメイク前、忙しくてしっかり化粧水が塗布できない人にもオススメです。
(取材・文=佐川みえい)

尾崎幸子(おざき・ゆきこ)
化粧品開発者/コスメ成分アドバイザー
文系の大学を卒業後、人材ビジネスに10年間従事するも、シャンプーのPRに関わったことを機に化粧品に興味を持ち、大手化粧品メーカーの開発などを手掛ける化粧品開発コンサルタント・岩田宏氏に弟子入り。化学の基礎から化粧品処方までを学び、2013年11月、自ら開発したジェネリックコスメ「MUQ」を発売。自身が皮膚疾患を抱えていることもあり、体に優しく、正しく機能する化粧品を現在も開発中。日々ビーカーを片手に実験に勤しみながら、客観的に正しいコスメ情報を発信すべく、「コスメ成分アドバイザー」としても活動中。
公式サイト

最終更新:2015/10/20 15:41
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