「優しい春の魔法にかかったみたい」春ポエム連発、「美人百花」の不可思議な点とは?
「美人百花」(角川春樹事務所)のレビューを初めて2号目になりました。まだまだ、この雑誌がどういうものなのか、新鮮な驚きが多いのですが、今月気づいたのは、この雑誌は結構「ポエム」が多いということです。
例えば、AKB48・小嶋陽菜さんがモデルの「レディに“色”めく春の私(ハート)」というページでは、「お散歩するだけでなんだかウキウキ(ハート)ふんわり優しい春の魔法にかかったみたい!」「オーダーはいつものラテ。季節がもう少し進むまで、この温かさを楽しみたいの」「今日のマカロンはレモン味。甘酸っぱいこのテイスト、恋する気持ちに似てるかも!?」と、一場面ごとにポエムが散りばめられています。
去年あたり、夢や希望、笑顔といった“ポエム”が日本社会に蔓延していることを指す「ポエム化する社会」という言葉をよく目にしましたが、「美人百花」のポエムはどちらかというと、80年代のアイドルソングの歌詞のようですし、清里のペンションやファンシーショップのようなメルヘンさが漂っています。世知辛い現代に、気分だけでも花を咲かせようということなのでしょうか。タイトルにも「花」がつくし、假屋崎省吾さんによる「花」の連載もありますし、この本と「花」は切ってもきれないのでしょう。
<トピック>
◎レディに“色めく”春の私(ハート)
◎春を待つウキウキはシースルーが連れてくる(ハート)
◎アラサー美人の流行まとめ
■春、春、春が攻めてきた!
今月の「美人百花」は「春」が全体を通してのテーマとなっています。とにかく、「春を待つウキウキはシースルーが連れてくる」「春はすぐそこ!オシャレしなきゃ!」「春待ちコーデ100!」「タイツをはいても春めくオシャレ(ハート)」と、もう春、春、春のオンパレード。
もちろんほかの女性誌でも、春コーデを取り上げていますが、その比ではありません。なぜここまで「美人百花」は「春」押しなのか……。そこからは、「寒がりだから冬が嫌い」「春の暖かさに全身で喜ぶ」というどこか幼さの残る“女の子”像を感じます。女の子の季節=“春”を前面に押し出している気がします(ひな祭りもありますし)。